内容説明
ビーコン街の屋敷のパーティに招待された弁護士アンダーウッド。彼が帰宅しようと席を立ったそのとき、女性の悲痛な叫び声がした。屋敷の主人サットンが二階の一室で銃殺されていたのだ。部屋の中には婦人がおり、傍らには銃があった。当然彼女に容疑がかけられる。簡単に解決する事件と思われた…。江戸川乱歩らによって戦前から紹介されていた本格派スカーレットのデビュー作を初完訳。旧邦題「密室二重殺人事件」。
著者等紹介
板垣節子[イタガキセツコ]
北海道札幌市生まれ。インターカレッジ札幌にて翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
33
古典の本格推理小説の見本と言える王道のど真ん中。十戒二十則を微笑ましいほど愚直に貫くフェア精神。密室殺人、家庭内の問題、怪しげな動きをする容疑者達、掘り起こされる意外な関係、宝石盗難事件、あからさまなまでのレッドへリングも含めてクラシック好きには筋立てだけでも涎モノ。1つめの密室を中盤で解いてしまってでも、2つ目の密室に目を向けさせて読者をミスリードする謎作りが良い出来。ハウダニットを疑似餌にしたフーダニットが綺麗に決まっている。2016/05/10
J・P・フリーマン
8
クラシカルな本格ミステリ。いわくつきの宝石や密室殺人、無実の容疑者といったイカニモな要素を散りばめながらも、すぐに第二の殺人を起こしまさかの人物を退場させることで、その後のお決まりのパターンを外して読者を楽しませようとしています。容疑者全員に怪しい点があり、終盤まで犯人捜しを楽しめました。2023/08/08
ホームズ
5
再読。やはり面白いんですがどうも淡々とした感じがしてしまって一気に読んでしまうような勢いがないかな~(笑)不可能な状況下での2つの殺人は面白くって良いですね(笑)『猫の手』『エンジェル家の殺人』『ローリング邸の殺人』は読んだので『白魔』が読んでみたいですね~(笑)論創社海外ミステリはマニアックな感じのラインナップが良いですね~(笑)2011/03/04
siopop
2
とても昔に書かれた小説なのに古さを感じさせず、逆に新しささえ感じてしまうような一冊でした。推理物の定番的ストーリー展開を想像しながら読んでしまった僕は、軽く驚きながらあれ?ここでもうこの謎を披露してしまうの?的な感じを何度も味わいながら読み進めました。新証拠が出る度に登場人物達が推理を組み立て、あっさりと前の推理を放棄する。 ホームズ的な完璧推理超人が登場しないところが魅力になっている気がします。何処と無くCSIシリーズのような雰囲気のある小説でした。楽しかった!江戸川乱歩が惚れ込んだと言うのも納得です。2012/06/28
ホームズ
2
探偵役はケイン警視。正直地味。派手さはないけど、面白い(笑)トリックには若干無理が・・・。それでも二つの殺人が起きる展開が良かった。2008/02/18