内容説明
シカゴの私立探偵ポール・パインのもとに一件の依頼が舞い込んだ。依頼主はカトリック教会の司教。ある男を探し出してほしいという。驚いたことに、その男は存在しないはずのイエス・キリストの自筆文書を持っているというのだった。パインは、往年の大ギャングや美しき未亡人、謎の怪人が入り乱れる争奪戦に巻き込まれていく…。正統派ハードボイルドの名手ジョン・エヴァンズによる『栄光』シリーズの第二作。半世紀の時を経てついにヴェールを脱ぐ。
著者等紹介
エヴァンズ,ジョン[エヴァンズ,ジョン][Evans,John]
1907~99。本名ハワード・ブラウン。アメリカ、ネブラスカ州生まれ。私生児として生まれ。少年時代を感化院や養父母のもとで暮らした。高校中退後、シカゴでさまざまな職に就くかたわら、パルプ・マガジンに投稿する。1941年に『マンモス・ディテクティヴ』誌の編集を任されたのを皮切りに、数誌の編集長を歴任。46年にポール・パイン・シリーズ第一作目の『血の栄光』を発表。正統派ハードボイルドの名手として活躍する。後年はハリウッドでテレビや映画のシナリオを書いた。85年、アメリカ私立探偵作家クラブからジ・アイ賞(功労賞)が贈られた。『夜に消える』(65)など、本名名義での作品もある
佐々木愛[ササキアイ]
1973年生まれ。北星学園女子短期大学英文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
29
私立探偵ポール・パインは謎めいた美しい人妻に誘惑されたり、後頭部を殴られて失神したり、他殺体を発見して警察に睨まれたり、いかにも正統派ハードボイルドの展開。勿論語りに皮肉めいたユーモアや隠喩は欠かせない。ポール・パインの特徴は彼自身ハードボイルドの小説や映画が好きで、それらの主人公と我が身を比べたりする、自己批評的な面がある所。依頼人の目的がイエスキリストの直筆の古文書というのは、大風呂敷を広げすぎた感が。ミステリらしい意外な結末が待っています。2010/11/24
koo
9
ジョンエヴァンズ初読み(ハワードブラウン名義作品は既読)私立探偵ポールパインを主人公とした栄光4部作の2作目。キリストの直筆の古文書探しという宝探しめいた発端から美女の誘惑や後ろから頭部を殴られ失神シーンありとお約束てんこ盛りながら軽口のパインの一人称でパルプ色が強めな作風で小気味よく描かれます。ロスマクほどプロットは複雑ではないですが結末には意外性もありまさにハメチャンロスマクに連なる正統派ハードボイルドの佳作でしたね。また法月倫太郎の解説というか分析がいつもながら素晴らしいです。訳も良かったですね。2025/04/12
mordidaman
4
1948年作のシカゴの私立探偵ポール・パイン第2作。妖艶な美女と酒、そしてギャングの登場。探偵は次々と死体に出くわし頭を殴られ昏倒する。本作は所謂ハードボイルドの典型を作った作中の一つとか。意外にもかなりトリッキーな真相となかなか沁みるエンディングが良い。このシリーズは残り2作あるが、読むのが楽しみ。2025/04/12
kanamori
1
☆☆☆2012/09/27
由綾乃
1
ハードボイルド。この国でこそのミステリという感じです。2012/07/01