内容説明
息子を束縛する母親と人形を偏愛する息子。よりによって彼が娘の婚約者だなんて…。平穏な家庭を守る主婦クレアの心は、彼らの闖入によって無惨に掻き乱される。信頼、動揺、懐疑、不信。徐々に変化する人間の感情を、研ぎ澄まされた感性で描いたサスペンス。ルース・レンデルと並び称される、MWA賞作家フレムリン、満を持して登場。
著者等紹介
フレムリン,シーリア[フレムリン,シーリア][Fremlin,Celia]
1914。本名シーリア・マーガレット・ゴラー。イングランド・ミドルセックス州生まれ。オックスフォード大学で古典を専攻。その後、病院の雑役婦や世論調査の仕事などをしながら作家を目指す。第二次大戦中は空襲監視員に従事。1940年に病院時代の体験を書いたノンフィクションを出すが、小説でのデビューは育児のあいまに書き上げた『夜明け前の時』(58)。同書は翌年度のMWA最優秀長編賞を受賞した。以降、94年のKing of the Worldまで全16作の長編と多数の短編を発表しており、ドメスティック・サスペンスの名手として知られている
上杉真理[ウエスギマリ]
札幌生まれ。藤女子大学国文科に学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kouro-hou
27
日常ミステリ、サスペンスを得意とするフレムリン女史は、日常あるあるを積み重ねてイヤイヤそりゃ無いよ!の域まで持っていく達人である。今回は多少見栄っ張りだが常識的な主婦クレアの今でいうダメンズな娘が婚約者を連れてきて、相手が会計士なら大丈夫だろうと思っていたらこれが相当なマザコン。相手の母親も神経質で、と続きますが流石フレムリン女史はただマザコン話で終わらせません。日常ユーモアを交えつつも、うええぐええの非日常に突入。ただ殺伐の中に、ルース・レンデルのような毒吹雪ではない温もりもちょっと感じたりするのです。2019/12/27
脂肪分
0
人間洞察は好き。2007/03/19
riri
0
『泣き声は聞こえない』で著者がすきになったのですが、ますます好きになりました。彼女の書くミステリーは、日常と密接していてとても面白いです。この作品でも、日常を生きる主人公が非日常のせいで事件に巻き込まれていく姿をコミカルに描いていました。2010/05/10
三門 優祐
0
途中までは結構技巧派かなと思って読んだが、後味がひどく悪い。ちょっとねじれた趣味の人にはオススメする次第であります。2009/01/20