ルーゴン=マッカール叢書
生きる歓び

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  • サイズ A5判/ページ数 424p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784846004514
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

ゾラが造型した近代の女性像と世紀末のペシミズム。貧漁村に後見されたパリ娘、ポリーヌ。後見人一家が羅った“精神・痛風・心臓”病に、自らの多額な遺産は蚕食されていく―近代社会の厭世と献身の物語。

著者等紹介

小田光雄[オダミツオ]
1951年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。出版社の経営に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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NAO

50
ルーゴン・マッカール叢書3巻『パリの胃袋』に登場した裕福な商人一家の幼子ポリーヌが、10歳の孤児として再登場する。聖女のごとく献身的に人に尽くすのに、誰からも好かれず冷たくあしらわれるポリーヌ。ポリーヌの養家の苛立ちも分かるし、彼女の行為は独善的にも見えるが、自分の存在意義を自分が持っている債権を使うことでしか表せないのだったら、他に彼女に何ができただろう。ゾラは、資本主義の悪しき面を活用することで肥え太ったブルジョアはそのためこんだ金をすべて使い尽くすことで贖罪するしかないと考えていたようだ。2017/01/31

ラウリスタ~

14
流れる二つの女の血、月経と出産。かなり踏み込むなあ、「男の医者なんていや。あんたに見られると、もうあんたの顔見れないじゃない」って言っていたコケットな娘が、男たちに太ももを押さえつけられながら、凄まじい難産。死を予感させてしまう「生」のおぞましさ、それに耐えられないラザール。同年のモーパッサン『女の一生』同様に、周りの人に尽くして一生を終えるポーリーヌ。経血として地に流される遺伝的狂気の血を断ち切り、恋敵の子供を育てる処女ポーリーヌ。訳者あとがきのラザールが、ニート、フリーターの先駆者云々はダメ。2018/02/06

ろべると

9
親戚のシャントー家に引き取られたポリーヌは、愛する従兄ラザールが次々と手を出す事業に財産を差し出した末に、遂には他の娘に彼を譲って身を引くのだった。典型的な双極性の症状を示すラザールをはじめとする面々に献身的に奉仕するポリーヌは、聖女なのか、それとも単なるお人好しか?きっとゾラは当時流行したショーペンハウエル的厭世思想のアンチテーゼとして、彼女を描いたのだろう。自らの信条に照らして恥じることのない彼女の生き様は、俗世の小人たちの些事を超越して輝き、生きる歓びとなって大地に降り注ぐ。やっぱり聖女ってことか。2024/12/24

きりぱい

8
叢書第12巻。これが歓びと言えるのか、『パリの胃袋』ではまだ幼かったポリーヌは、母が姉妹同士で同い年の従妹になる『ナナ』とは対照的に、はた目には悲劇の尽くす女性の道を辿る。10歳で孤児となってシャントー家に引き取られるも、善行はこじれ、なまじ遺産があっただけに食い物にされ、多感な娘盛りの愛と青春は全然旅立てない!そんな苛立ちを忘れさせるほどリアルに差し迫るのは後半の出産シーン。おののきの経過にそけい部がむずむず。逆境にめげず心丈夫になってゆくポリーヌには、それでいいの?なんて言葉は余計なお世話だった。2011/03/24

K.Y

1
ポーリーヌのように生きることは一つの答えであろう。でも、何かもう一歩新しい境地へと至れないものか、とも思えてしまってならない。2016/01/28

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