内容説明
無欲で純真、無頓着なイワンと魔法の小馬の痛快な友情物語。
著者等紹介
エルショフ,P.[エルショフ,P.]
1815‐69。ロシアの作家。西シベリアに生まれ、伝承文学の世界に深く接して育った。ペテルブルク大学在学中に発表した、ロシア民話のテーマにもとづく物語詩『せむしの小馬』(1834)は、今日にいたるまでロシアで最もよく読まれる古典作品の一つである
田辺佐保子[タナベサホコ]
早稲田大学文学部大学院修了。ロシア文学専攻。津田塾大学、成蹊大学等非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
27
わが国で児童文学として読まれていても最初からそうであった訳ではない。19世紀前半に書かれた「せむしの小馬」は、できの悪い主人公が助けられるところは「ドラえもん」に同じだが、美しいお姫様をもらい、悪しき老皇帝に代わり、新しい王様になるところは、明らかに社会風刺と救世主待望。この頃のロシアは下り坂とはいえ、ナポレオンの大軍を撃破し、対外的には自信満々。ところが、足元は病んでおり、庶民の不満は鬱屈していた。21世紀の今でも権力者のやっていることはあまり変わらないが、庶民の発言の自由は約2世紀で飛躍的に拡大した。2014/06/19
mm
17
発表当時は全く無名の大学生エルショフによる180年位前の作品。プーシキンに大いに認められたらしいが、その後有名な作品は残さず故郷の教員として暮らしたらしい。ロシア民話のエッセンスを昇華している感じ。そして、田舎話に留まらず、移動範囲のスケールは大きいので、伸びやかな感じ。ロシアの国力が伸びてる時期だからかな。でも、高級品といえば、舶来の葡萄酒と舶来の食器セットということになるらしいあたりがいかにも。せむしの子馬に助けられて大出世するイワンは、信心深い訳でもなく、働き者でもなく、超マイペースが強み。2015/12/09
ツキノ
5
図書館の1月の展示本。なるほど、こういう話だったのね。話の構成が巧み。おもわず引き込まれる。2014/02/05
さんご
2
挿絵にバスネツォフのリトグラフを使用しているので購入。 最初に読んだ角川文庫の稲田定雄・訳とコチェルギンの挿絵が好きで、次にコチェルギンのカラーの大きな挿絵が見たくなり新読書社の福井研介・訳を探していたら、社長の伊集院俊隆氏がわざわざ探してくださった。 次はバスネツォフの絵の表紙のエルショーフ「イワンとふしぎなこうま」浦 雅春・訳(岩波文庫)を読んでみたい。2019/09/11
りんご
2
寓意的なようなそうでもないような…せむしの子馬がなんだってそんなに親切にするのか、実はよく分からない。なんてったってイワンは馬鹿で、その上さして勤勉でもマメでもないのだ。母馬がイワンを振り落とせなかったというのが余程のことだったんだろう。 と、なんやかや言っても好きなお話。どうかつまらん言葉狩りに逢いませんように。2018/07/02