内容説明
気宇壮大、傑出した短編。初の単行本化。
著者等紹介
ドストエフスキー[ドストエフスキー]
1821‐81 ロシアの作家。モスクワに生まれ、ペテルブルグで活躍した世界的文豪。処女作『貧しき人びと』で華々しくデヴュー。癲癇の発作に苦しめられ、ペトラシェーフスキイ事件に連座して銃殺刑を宣告されたが、一転してシベリアへ四年の流刑となった。釈放後、次々と作品を発表
太田正一[オオタショウイチ]
1945年、宮城県生まれ、早稲田大学大学院修了。詩人・ロシア文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュラフ
20
みんな子どもの頃は無邪気で愛らしいのだが、大きくなるにつれてろくでもなく不愛想な大人になっていく。情欲と嫉妬からはじまる非難攻撃による分裂と孤立に至り悲哀と苦悶を知る。そして人間の社会は兄弟愛とか人道とかいう正義の観念を作りあげて掟をもうける。人間は"堕落"していくのだ。本当の真理とはなんなのかを考えようとはしない。だがこのおかしな男は、人間は美しく幸福になれるという真理を目にしたのである。だから男は真理を"伝道"しにいくのである。世の中の塵芥にまみれてしまった私にはこの男はやはりおかしな男に思える。2016/05/15
sasa-kuma
17
ドストエフスキーの思想をぎゅっと凝縮したような内容。そのほとんどは夢のはなしで、そういえば、ラスコーリニコフ(罪と罰)も夢で思想を語っていたよね。2016/12/07
霜月ざら
11
短いながらも人間のどうしようもない本質が書かれているように思う。でも主人公が死ぬことをやめたことの方が意味のあることなんだろうな。人間は簡単に堕落するけれど、過ちに気付いて変わることも出来る。おかしな人間とはどんな人間なのか、じっくり考えてみたい。2015/02/15
zen1ro
10
十字架で 特定人物 連想す2014/12/13
まさむ♪ね
10
おかしな人間は寝てみる夢も起きてみる夢もやっぱりおかしな夢になってしまうのか。おかしな人間ってどういう人間のことだ。世間一般とズレた考えを持っている人、いわゆる普通じゃない人のことか。じゃあ、マイノリティはおかしな人間か、いやマイノリティから見るとマジョリティの方がおかしな人間になる。そもそも普通ってなんだ。題名だけでいろいろ考えさせられた。「空想的な物語」という副題通り、常にふわふわ飛んでるような感覚を味わうことになる。まごうことなきドストの仕業!ファンタスティック物語。2013/06/23