内容説明
本格派の愉悦。猟奇とユーモア、理智の円舞曲!科学者作家の冷徹なる実験精神が、闇に嵌まった都市のパズルを解きほぐす。
著者等紹介
甲賀三郎[コウガサブロウ]
1893(明26)年、滋賀県生まれ。本名春田能為。1918(大7)年、東京帝大工学部化学科を卒業。20(大9)年、農商務省臨時窒素研究所技手となる。23(大12)、「真珠塔の秘密」で推理文壇デビュー。以降、理化学トリックを使った作品を数多く発表。45(昭20)年、急性肺炎のため死去
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感想・レビュー
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Kouro-hou
20
横溝正史曰く「初期の探偵作家で思う存分作品が書けたのは江戸川乱歩と甲賀三郎くらいではないか。その後に出た小栗虫太郎や久生十蘭らは時勢で思うように探偵小説が書けなくて可哀相だった」だそうで。しかし現在から見ると甲賀三郎の方が読むのが困難ではないか。そんな甲賀作品を単行本初収録作品含む5篇と評論11本を集めた有り難い本である。甲賀自身がモデルらしい酔いどれ探偵作家土井江南シリーズを複数収録。「原稿料の袋」冒頭の作家仲間の床水政司(横溝正史)、溝谷潤(水谷準)と呑んでいるシーンが当時と人柄を偲ばせて微笑ましい。2016/02/04
ホームズ
6
「探偵小説選」といいながら半分以上が評論と随筆って言うのは・・・。それも面白いんですけどね(笑)あまり甲賀三郎という人の「探偵小説」は読んだことがありませんがなかな楽しめました(笑)戦前の雰囲気とトリックがいい感じでした(笑)文庫本で黒岩涙香あたりと全集みたいのできないかな~(笑)まあ論創社のようなマニアックなとこじゃないと無理か(笑)2010/10/07
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
5
和蘭陀靴の秘密と円タクが面白かった。2019/05/29
来古
1
【創作】「電話を掛ける女」「原稿料の袋」「鍵なくして開くべし」「囁く壁」「真夜中の円タク」【評論・随筆】2024/02/01
たけとり
1
ページ数的には2/3が小説、1/3が随筆や評論で、評論の方で他作品のネタバレがある場合は、そのタイトルと注意書きが表紙ページにあるので親切な造り。事件に巻き込まれがちな探偵作家・土井江南の話を中心に収録されています。個人的には、怪盗・葛城春雄が主人公、もしくは登場する話が読んでみたいんだけど、ないんだろうなぁ……。残念。2014/04/17