内容説明
『竜馬がゆく』に欠落するものは何か。誤伝累積の虚像を粉砕し、正確な史料を縦横に駆使した実像を提示。司馬遼太郎、津本陽など文学作品における御都合主義を鋭くあばく。また海舟・龍馬間の真相に初めて切りこむ。
目次
1 司馬文学と歴史
2 龍馬と下関
3 龍馬の実像
4 新政府綱領八策の「○○○」再論
5 流芳遺墨に刻された坂本龍馬手翰
6 薩長同盟の当事者木戸孝允の記憶
7 薩長同盟から大政奉還へ
8 龍馬と松平大隅
9 海舟と龍馬
10 脱藩論
11 司馬遼太郎―脱イデオロギー
あとがきを兼ねた長い補論―龍馬伝説を検証する
著者等紹介
松浦玲[マツウラレイ]
1931年広島県生まれ。京都大学放学処分。立命館大学大学院修了。京都史編纂所主幹、桃山学院大学教授などを経て現在、著述業
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感想・レビュー
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amabiko
4
本書が検証の対象とした「伝説」とは、一言でまとめるなら「龍馬と海舟の親密な関係」ということになるだろうか。丹念に史料を読み込んだ海舟研究者である著者からみたら、龍馬と海舟はある時期を境に没交渉となるそうだ。終生の師弟関係ではないということか。大政奉還の策を龍馬に授けたのは大久保一翁と海舟とする『竜馬がゆく』は、完全なるフィクションとのこと(×海舟→○春嶽)。多くの論考や小説の誤りをバッタバッタと切り伏せる手際は痛快だが、その緻密な著者による本書に単純な誤字脱字が散見されるのは少し残念。2014/05/19