内容説明
詩人石原吉郎の省察は、八年間のソ連抑留生活に負うところが大きい。なかでも、屠殺場と恐れられたバム鉄道沿線の強制収容所で囚人として送った一年は、生涯の重さを決定した。
目次
ソ連抑留前夜まで
アルマ・アタからカラガンダへ
バムの強制収容所
ハバロフスク第六分所
帰ってきた詩人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Michiko Kato
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詩の評論など読んだこともなく、シベリア抑留のなんたるかもわからず、とにかく「石原吉郎」と名のつく本を手当たり次第に読む。読んで、言葉が出てこない。ほんとに出てこない。 石原吉郎全集が県立図書館にあり、相互貸借で借りることもできた。2016/11/10
ToshihiroMM
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著者の落合自身も抑留経験者。経験者ならではの視点による、石原作品に対する興味深い解釈がいくつかある。しかし何よりも、石原読者としては単行本『望郷と海』などで時系列が錯綜するように提示された収容所体験が、きっちりと年代順に並べ替えられ叙述されていることがありがたい。細かいエピソードによる補完もあり、難解な石原作品がどのような歴史を背負っているかを垣間見ることができる。2019/09/29