フールズ・オブ・フォーチュン

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フールズ・オブ・フォーチュン

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  • サイズ B6判/ページ数 341p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784846001025
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1920年、アイルランド。独立戦争への報復のテロリズムに引き裂かれた恋人達の長い彷徨の果てに訪れる愛の奇蹟。ウィットブレッド最優秀小説賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaoru

62
裕福で幸せな幼年時代を送っていた少年ウィリーがアイルランド抗争によって人生を破壊される。成長した彼を新たな悲劇が襲い、ある決意を固めた彼は生まれ故郷を去る。イングランドとアイルランドの錯綜した歴史は作家トレヴァーの中核をなすテーマだが、この長編は最も彼らしい作品かもしれない。彼を愛してイングランドを捨てる従妹のマリアンの不変の真心と彼らの娘イメルダに宿った狂気と恵み。歴史に翻弄された「運命の犠牲者」(Fools of Fortune)だった彼らに最後に訪れる薄明りのように穏やかな平和。この作家を知るには⇒2021/06/09

シュシュ

29
1917年から1982年までのアイルランドで運命に翻弄される少年とその恋人の物語。後半は一気に読んだ。アイルランドについて何も知らなかった私だが、大飢饉や、カソリックとプロテスタントが対立する話は、トレヴァーの他の短編にもあって馴染みがあった。父母のいるイングランドを捨ててアイルランドに住むマリアンの「アイルランドとイングランドは抱擁しているよう」という言葉は、願望でもあるのだろう。トレヴァーの短編がつながってできた大きな物語のように感じた。善良な人たちが過酷な出来事に巻き込まれるのが悲しい。2016/12/28

おおた

15
アイルランドとイギリスの抗争の歴史が色濃く残る物語。舞台は20世紀初頭、ウィリーは製粉所や広大な屋敷を持つ地主の息子。スパイの疑いのある使用人が殺され、報復としてイギリス人が家を焼き討ちにする。ショックでアルコール依存になる母とともに暮らし、恋する相手にも出会うが、ある事件のせいでウィリーは地元で名前を呼ばれない存在となる。文中で二人称が唐突に使われるようになるが、これが本当にうまい効果を引き出す。ラストはトレヴァーらしくもあり、らしくもない苦い救い。ぜひコレクションで復刊を!2015/06/12

ねむいよたか

3
'贖罪の後に与えられた赦し'彼らは複雑に絡み合ったイングランドとアイルランドという二つの国における、運命の犠牲者(Fools of Fortune)だったということなのだろうか?しかし最後には'犠牲者'であった彼らにも赦しと救いが与えられる。この物語が書かれた当時、北アイルランドでは内戦が起き、血みどろのテロ行為が各地で行われ、独立戦争を彷彿とさせる惨状を呈していた。それが作者にこのような物語を描かせたのかもしれない。改稿元とされた名短編、'聖人たち'も邦訳されており是非読まれることをお勧めしたい。2016/08/29

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