出版社内容情報
アクティブ・ラーニングの要ともいうべき、相互評価と自己評価(振り返り活動)。
その課題と充実方法を、カウンセリング心理学の第一人者・河村茂雄が解説。
学びの質を高める「ピアフィードバック」を実現するための一冊。
◎思考力・判断力・表現力や、学びに向かう力(主体的に学習に取り組む態度)等を育てるために、子ども同士で行うピアフィードバック(相互評価)を授業に取り入れることが増えています。ところがこういった取組みは、しばしば空虚なほめ合いや揚げ足取り等に陥り、教師が期待したほど盛り上がらないことがあります。こうした苦戦の背景に人間関係からくる子どもたちの心理状態(防衛性や攻撃性等)があり、授業づくりにも人間関係づくりやカウンセリング的な対応が必要になっていると考えられます。
◎はじめは「他者不安」が強くても、他者とポジティブに関わる経験は徐々に「自信」を生み出し、やがて「自立した学習者」としての成長につながります。教室で子ども同士が批判的・対話的・建設的に関わるチャンスを増やせるように、学級の心理的安全性をどう高めていけばよいか、またピアフィードバック等の学習活動をどのように構成し、どのように子ども個々の主体性(エージェンシー)や協働性(共同エージェンシー)を育てていくことができるか、カウンセリング心理学をもとに具体的に解説します。
目次
第1章 なぜピアフィードバックか(ピアフィードバックで「自立した学習者」を育てたい;ピアフィードバックが学習者の成長を促すプロセス;表面的なピアフィードバックをまねく要因;どのような対応・改善が必要か)
第2章 ピアフィードバックの理想型をめざす(授業の基盤となる学級集団づくり;ピアフィードバック活動の成立を支える観点と方法)
第3章 どんな学級でも取り組むためのヒント(タイプ1:同一化的傾向の学級集団(教師の期待に沿おうとする状態)
タイプ2:形骸化した傾向の学級集団(ほめ合いなど建前に終始する状態)
タイプ3:空洞化した傾向の学級集団(おしゃべりが多いなれ合いの状態)
タイプ4:無気力化した傾向の学級集団(かかわりも低調なしらけた状態)
タイプ5:防衛的風土の学級集団(揚げ足とりがあるギスギスした状態))
著者等紹介
河村茂雄[カワムラシゲオ]
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。筑波大学大学院教育研究科カウンセリング専攻修了。博士(心理学)。公立学校教諭・教育相談員を経験し、岩手大学助教授、都留文科大学大学院教授を経て現職。日本学級経営心理学会理事長、日本教育カウンセリング学会理事長、日本教育心理学会社員、日本カウンセリング学会理事、日本教育カウンセラー協会岩手県支部長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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