内容説明
細胞の運動は、そのしくみの中に生命の謎の一つが潜められているようで、古くから多くの人が関心をいだき、研究をしています。近年、生化学の発達や電子顕微鏡の利用によって、細胞運動を分子のレベルで説明できるようになりつつあります。この本は、筋肉の収縮、繊毛やべん毛の運動、原形質流動、アメーバ運動など、様々な細胞運動についての研究の現状を、やさしくまとめたものです。随所に、筆者の「おしゃべり」をまじえながら楽しくつづっています。
目次
筋肉はどんなしくみで縮むか(筋肉のつくり;筋収縮のすべり説;筋肉を構成するタンパク質;筋収縮の調節;他の筋肉の収縮)
繊毛やべん毛はどんなしくみで動くか(繊毛運動とべん毛運動;繊毛とべん毛の構造;繊毛を構成するタンパク質;繊毛・べん毛運動のしくみ;細菌のべん毛運動のしくみ)
変化する細胞(細胞の構造と分化;細胞の骨組みとその変化)
原形質はどんなしくみで流れるか(流動との出合い;壁に囲まれた動き;車軸藻類の原形質流動;粘菌変形体の原形質流動)
アメーバ運動(アメーバの不思議;アメーバ運動についての古い説;アメーバ運動についての新しい説;アメーバ様運動)
細胞分裂に伴う運動(細胞分裂とその経過;細胞質分裂;紡錘体の構造;染色体の運動)
その他の細胞運動(原生動物で見られる二、三の運動;多細胞動物で見られるいくつかの運動)