出版社内容情報
石油もガスも石炭もない時代、人口急増と社会構造の変化を背景に起きた、大開発時代にともなう燃料不足・薪不足問題を読み解く。
江戸時代、燃料の薪不足に悩む仙台藩広渕村の百姓たちが、
入会地内に誕生した北村新百姓のいぐね(屋敷林)を伐採したことで、紛争が勃発。
広渕村では大肝入と御代官様の御下知(指図)により伐採したと主張する。
電気はもちろん、石油もガスも石炭もない時代、
人口急増と社会構造の変化を背景に起きた、
大開発時代にともなう燃料不足・薪不足問題を読み解く。
紛争の記録を記した古文書を読み解くため、3年間におよぶ現地取材、村の古老へのインタビューにより明らかになった事件の背景とは。
はじめに 3
主な登場人物 10
序 章 新田開発と北村・広渕村 13
1 北村、広渕村の概況 14
2 新田開発による石高の急増 16
3 人口の増加 18
第1章 北村・広渕町紛争 23
1 訴状の表題と奥書 24
2 新屋敷誕生 29
【コラム】馬除け? 魔除け? 34
3 いぐね刈られる 35
4 大肝入と御代官様の御下知か? 39
【コラム】馬で乗り入れたわけは? 42
5 善右衛門 山人二人に縄を懸ける 43
6 夜中に山人を広渕町に連れて行く 47
【コラム】不定時法 53
7 北村と広渕町が衝突する 54
8 北村 清次郎、善右衛門 半死半生にされる 58
【コラム】殺されたの? 63
9 北村組頭 甚之丞、脇差をうばわれる 64
10 大肝入と広渕肝入より「善右衛門を見届けたい」と手紙が来る 68
11 広渕の者ども 山人を奪い返しに 善右衛門留守宅に押し込む 73
第2章 代官と大肝入への反論 77
1 大肝入作右衛門 手負いの清次郎を見届ける 78
2 代官による取り調べ 84
3 善右衛門の取り調べと北村の反論 89
4 善右衛門と両肝入の仕置 94
【コラム】江戸の刑罰、預 98
5 仕置の執行停止 98
6 御代官様への反論・その一(肝入の承諾を得ずに縄懸けした件など) 101
7 御代官様への反論・その二(入会地に「いぐね」を立てた件など) 106
8 仕置の不公平さ 110
第3章 北村百姓 主張を貫く 115
1 郡司(郡奉行)による取り調べ 116
2 手負い清次郎 打ち身再発して果てる 120
3 八郎左衛門子ども 助七に肝入役を命じてほしい旨の願書 124
4 助七肝入役の願書 返される 127
5 北村百姓 主張を貫く 131
第4章 事件の背景と歴史的意義 139
1 燃料不足を推計する 140
2 大肝入の苦悩と代官の立場 147
3 北村・広渕村紛争から見えてくるもの 150
付録 古文書・関係年表 155
あとがき 218
【著者紹介】
支倉清(はせくら・きよし)宮城県石巻市(旧河南町前谷地)の支倉家に生まれる。元東京都公立小学校長。宮城県前谷地の支倉家と、伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節の大使・支倉常長とどのようにつながるのか、長年研究を続けている。本書で取り上げた仙台藩入会地紛争も、キリシタン禁制をおかし、一族の関係者が処刑される中、処刑を免れるため仙台から前谷地に逃亡した常長の次男・支倉権四郎常道(戒名「道伯禅定門」)の二十三回忌法要が行われた時期にあたり、当時の村の様子を知る目的で、本史料の研究に取り組んだ。
内容説明
江戸時代、燃料の薪不足に悩む仙台藩広渕村の百姓たちが、入会地内に誕生した北村新百姓のいぐね(屋敷林)を伐採したことで、紛争が勃発。広渕村では、大肝入と御代官様の御下知(指図)により伐採したと主張するのだが、さて、その真相は…。
目次
序章 新田開発と北村・広渕村(北村、広渕村の概況;新田開発による石高の急増 ほか)
第1章 北村・広渕町紛争(訴状の表題と奥書;新屋敷誕生 ほか)
第2章 代官と大肝入への反論(大肝入作右衛門手負いの清次郎を見届ける;代官による取り調べ ほか)
第3章 北村百姓主張を貫く(郡司(郡奉行)による取り調べ
手負い清次郎打ち身再発して果てる ほか)
第4章 事件の背景と歴史的意義(燃料不足を推計する;大肝入の苦悩と代官の立場 ほか)
著者等紹介
支倉清[ハセクラキヨシ]
宮城県石巻市(旧河南町前谷地)の支倉家に生まれる。元東京都公立小学校長。宮城県前谷地の支倉家と、伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節の大使・支倉常長とどのようにつながるのか、長年研究を続けている
支倉紀代美[ハセクラキヨミ]
宮城県東松島市に生まれ、石巻市前谷地で小学校・中学校・高等学校時代を過ごす。元神奈川県公立小学校教諭。幼少期より、実父・本田雅童より習字の手習いを受ける。その後、日本書学館の初山祥雲に師事し、本格的に「書」を学ぶ。仙台藩入会地紛争に関する古文書も、「書」の知識を活かして、解読文を作成し、読解に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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コーリー