温暖化に追われる生き物たち―生物多様性からの視点

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温暖化に追われる生き物たち―生物多様性からの視点

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  • サイズ A5判/ページ数 413p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806711506
  • NDC分類 519.8
  • Cコード C0040

出版社内容情報

温暖化で何が起こるのか。
プランクトン、昆虫から人間まで、気鋭の研究者たちが、フィールドの最前線から報告。
英訳「A Threat to Life: The Impact of Climate Change on Japan's Biodiversity」(IUCN、BDNJ、築地書館共同出版)も出版され、世界に情報を発信した。

【書評再録】
●朝日新聞「天声人語」(1997年12月1日)=不器用な彼らの未来をさまざまな研究者が紹介している
●朝日新聞評(1997年11月30日)=生物多様性の保全の立場から20人の研究者が論じる。用語の解説をつけるなど、高校生以上ならば理解できる。
●東京新聞評(1997年12月7日)=子孫のために知っておきたい事実の集大成。
●山と渓谷評(1998年2月号)=ここに綴られた最新の知識、情報そして想定は「温暖化を食い止める行動を急げ」という重大な警告として受け止められよう。
●日経サイエンス評(1998年3月号)=この本のように、徹底して「生物多様性」にこだわった本は類書がない。事態の深刻さを受け止めたい。
●野鳥評(1998年2月号)=地球温暖化が動植物に与える影響が、ウミガメは高温化で発生するとメスばかりになるといったわかりやすい事例を織りまぜながら、多分野にわたる研究者によって語られる。用語解説も親切。
●バーダー評(1998年3月号)=影響を目の当たりにしている人たちの強い危機感が伝わってくる。
●私たちの自然評(1998年3月号)=「温暖化? カンケーないわ」といっている人にこそまず手渡したい。あなたの愛する自然が、動物が、地球が今、私たちの手で葬られようとしている関係性が分かるから。
●教育新聞評(1998年1月12日)=このままでは地球はどうなってしまうのだろうか。そんなことを考える上でも本書はたいへん参考になる1冊である。
●遺伝評(1998年2月号)=マスコミが書き立てるセンセーショナルなキャンペーンよりははるかに強い説得力をもつ。

【内容紹介】本書「まえがき」より
 地球温暖化のスピードは、きわめて速い。その速さは、すでに生物が順応できる限界を超えている。開発や環境化学物質との複合的な影響の可能性もあり、多くの生物種が絶滅の淵に追いやられかねない。温暖化による生物多様性への負荷は深刻である。
 気候変動は海面の上昇、洪水の増加、砂漠化など荒々しく、大きな影響を地球にもたらすことはほぼ確実と見られている。このまま進むと、2100年には平均気温は2度、海面は65センチメートルから1メートル上昇すると予測され、日本は浜辺がほとんどない列島になるかもしれないのである。白保の珊瑚、鳥取の砂丘と、北から南まて日本の浜辺は美しいが、海面が1メートル上昇すると、砂浜の9割が消失するという。そのとき、海岸の貝は、海藻は、魚は、カメはどうなるのか、海岸の生き物たちは人間の生活とも密着しているが、そうした生物に関しての情報は非常に少ない。
 植物学者に聞くと、「2度の気温上昇は、日本が100年間に南へ300キロ移動するのと同じことで、植物は北へ移動を強いられますが、温暖化のスピードに植生帯の移動がとても追いつきそうにありません」という。

 何億、何万、何千年という長い歳月をかけてつくり上げられてきた地球環境の絶妙なバランスが、わずか100年から200年ほどの人間活動の影響で崩れようとしている。最初にふれたように、最大の問題は気候変動のスピードである。
 1万年前に現在より気温が5℃低かった最終氷期が終わり、約1000年かかって現在の地球の気温にまで上昇し、以後9000年は安定した気候が続いていた。ところが、産業革命以後の近代工業社会に入って、この気候の安定性が崩れ、平均気温の急速な上昇が始まった。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測によると、19世紀末以降100年の間に、地球の平均気温は0.3~0.6℃上昇しており、このまま地球の温暖化が進むと2100年には現在より2℃上昇する、とのことである。これは、過去1万年に見られた気温の上昇速度と比較すると、いささか異常な速さであり、自然に起こる変化のみに起因する現象とは考えにくい。つまり、この急激な気温の上昇には、近代以降の人間活動が引き金となっているのであり、このスピードをコントロールするには、人間自身がその原因をつきとめ、これ以上深刻な事態を引き起こさないための対策を講じる以外にないのである。

 絶滅した生物や破壊された生態系の回復は不可能である。必要なデータがなければ、予防のための包括的な対策を実施することもできない。
 わが国においてもそのためには、気候変動と日本の生態系に関する、大規模で、長期的な調査研究が展開されなければならない。数百億という桁の予算を計上してでも総合的調査研究を実施し、正確なデータと科学的な知見を得ることによってのみ、わが国の環境安全保障を確実なものとすることができる。同時に、それは次の世代に対しての責務でもある。

【主要目次】
▲▲1.リオの二つの条約の交差点から生命系の視点へ
  座談会「気候変動と生物多様性の未来」
▲▲2.生物多様性 その危機と保全
  地球温暖化と生物多様性
  生物多様性の危機
▲▲3.気候変動のシナリオ 過去と未来
  わが国の二酸化炭素排出削減の長期見通し
  生態系と炭素循環
  地球温暖化に伴う気候変化の予測
  縄文海進--急激な温暖化と海水準変化
▲▲4.生か死か 温暖化に立ち向かう生き物たち
  総論--地球温暖化と生物多様性
  温暖化により高山植物群落はどのように変化するか
  危機的状況にある水草の世界
  海の生物たちはどうなる
  魚類にとっての温暖化
  地球温暖化によるウミガメへの影響
  地球温暖化の昆虫へのインパクト
  地球温暖化と北海道東部高層湿原の高山蛾
  地球温暖化と森林害虫--北海道を例として
  鳥に何が起きるか
  ナキウサギは温暖化に耐えられるか
▲▲5.しのびよる感染症の恐怖 人の暮らしと温暖化
  対談「人獣共通感染症の恐怖」
  人の感染症の増加と温暖化
▲▲6.科学と地球の未来
  生物多様性を視点に地球温暖化を考える

内容説明

温暖化で何が起こるのか。プランクトン、昆虫から人間まで気鋭の研究者たちが、フィールドの最前線から報告する。

目次

1 リオの二つの条約の交差点から生命系の視点へ
2 生物多様性―その危機と保全
3 気候変動のシナリオ―過去と未来
4 生か死か―温暖化に立ち向かう生き物たち
5 しのびよる感染症の恐怖―人の暮らしと温暖化
6 科学と地球の未来