出版社内容情報
『一般言語学講義』刊行から一世紀、国内外の研究者16名が〈言語論的転回〉では語り切れないソシュールの思索と逡巡に光を当てる。ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、〈言語論的転回〉……フランス現代思想の潮流とともに喧伝された「ソシュールの思想」とは、膨大な草稿を残した言語学者の企図にかなっていたのだろうか。『講義』成立の背景とその功罪、理論的虚構としての〈ラング〉の限界と〈パロール〉の可能性、神話・伝説研究にみられる歴史観、アウグスティヌスからデリダまでの言語思想史上のメルクマール、認知言語学との類縁性、日本語学との邂逅……言語によって世界を整理区分するのではなく、むしろどこまでも曖昧になってしまうことに遅疑逡巡するソシュールが浮かび上がってくる。
松澤和宏[マツザワカズヒロ]
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内容説明
ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、“言語論的転回”…フランス現代思想の潮流とともに喧伝された「ソシュールの思想」とは、膨大な草稿を残した言語学者の企図にかなっていたのだろうか。言語によって世界を整理区分するのではなく、むしろどこまでも曖昧になってしまうことに遅疑逡巡するソシュールが浮かび上がってくる。
目次
ソシュール、『一般言語学講義』、一般言語学講義(ダニエル・ガンバララ)
ソシュールと『一般言語学講義』について(加賀野井秀一)
言語の性質をめぐるソシュールの逡巡(ルイ・ド・ソシュール)
ソシュール的恣意性の深淵とラングの言語学(松澤和宏)
ソシュールの一句をめぐって―“一般言語学”と『一般言語学講義』の問題(野村英夫)
記号と概念―現象学的認知主義からのソシュールの『一般言語学講義』の考察(宮原勇)
ソシュールと比較言語学(吉田和彦)
ソシュールの伝説・神話研究(金澤忠信)
アウグスティヌスとソシュール―言語記号の源泉と樹立(須藤英幸)
“arbitraire”は「恣意的」か:予備的考察(小野文)
ソシュールからパンヴェニストへ―ラングとエクリチュール(イレーヌ・フノリオ)
認知文法からみたソシュール―「記号体系としての言語」の系譜(野村益寛)
意味と意義―ソシュールと現代哲学(中田光雄)
差延、あるいは差異の亡霊―ジャック・デリダによるソシュール再論(宮崎裕助)
20世紀日本語研究と記号の恣意性(釘貫亨)
ソシュールと国語学―主観性概念の系譜と可能性をめぐって(阿部宏)
著者等紹介
松澤和宏[マツザワカズヒロ]
1953年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。名古屋大学大学院教授。専攻、近代フランス文学、言語思想史、生成批評(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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