出版社内容情報
文壇や詩人の生態を皮肉り叙事詩のパロディに仕立て上げた表題作ほか、本邦初訳の詩作品を集成し、詩人セルバンテスの実相に迫る。二万人の三文詩人に急襲された聖地パルナソ山を取り戻すべく、アポロン神によって〈真に詩才ある〉詩人が集められ、己の書いた作品を弾丸としてぶつけ合う〈本の戦争〉の火蓋が切られる。貧困のなか晩年を送ったセルバンテスが、自らに〈不当な〉評価を下した当時の文壇・詩人たちの生態を皮肉をこめて叙事詩のパロディとして描いた『パルナソ山への旅』ほか、セルバンテスの〈詩人〉としての本質を垣間見せる、本邦初訳の詩作品の数々を集成。
ミゲル・デ・セルバンテス[ミゲルデセルバンテス]
著・文・その他
本田誠二[ホンダセイジ]
翻訳
内容説明
三文詩人の軍勢に襲われた聖地パルナソ山を救うべく、“詩才ある”詩人が結集し、“本の戦争”の火蓋が切られる。当時の詩壇の実態を皮肉り叙事詩に仕立て上げた表題作ほか、本邦初訳の傑作詩作品を集成。
目次
パルナソ山への旅
詩作品
著者等紹介
本田誠二[ホンダセイジ]
1951年、東京に生れる。東京外国語大学スペイン語学科卒業。同大学大学院外国語学研究科修了。神田外語大学教授。専攻、スペイン黄金世紀文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
12
パルナソ山を2万人のへぼ詩人の軍隊が占領した。アポロンはパルナソ山奪還のための詩人を募ることとした。セルバンテスもその軍勢に加わり、アポロン率いるガレー帆船に乗るのだった。十一音節の三行詩で書かれた長編詩で、翻訳でもそのリズムを活かすような工夫がされている。しかし、ほとんどの紙幅を当時の詩人達の作品紹介に費やすだけだったのは残念。また、詩作品も特に目立つところがない、彼のパトロン向けに書かれたものだ。『パルナソ山への旅』は、セルバンテスの作品中最も読まれることの少ない作品と解説にあるが、それも納得だ。2018/12/05