内容説明
農家の長男として家業を継いだ川口由一氏は、農薬で心身を損ね、農薬を使わない農法の確立に挑んだ。生活に困窮し、周囲から笑われ、母親に泣かれた末に、独自の農法「自然農」を確立。耕さず、肥料・農薬を使わず、草や虫を敵としない自然農は、化石燃料をつぎ込み、畑を工場のように利用する従来の農法とは違い、自然に寄り添い恵みを得る「持続可能な未来の農法」。山や森の植物は、人が手を貸さなくても健やかに育つ。「本来、宇宙・自然界は絶妙な働きで、すべての生命が生きるに足るものを用意してくれている」と川口氏。自然農の実践を通して得た大いなる学びを「畑の哲人」が明らかにする。
目次
第1章 農薬で心身を損なって(戦時中に生まれて;ただ、勉強がしたかった ほか)
第2章 なぜ畑を耕さないのか(さまざまな自然農法;自然農の実践が始まる ほか)
第3章 人はいかに生き、死ぬべきか(怠惰を好む性質;いのちとは何か? ほか)
第4章 畑から宇宙が見える(貧り続ける人びと;食べ物をつくる喜び ほか)
著者等紹介
新井由己[アライヨシミ]
ライター&フォトグラファー。1965年、神奈川県生まれ。97年に新潟県の豪雪地に移住して自然農に取り組んだのをきっかけに、各地の実践者を訪ねる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うらじ
5
最低限しか耕さないという農法にコペルニクス的転回。大地を耕すとフカフカになるがすぐ固くなる、一度耕したらまた耕さなければならなくなる悪循環。近畿大学の調査では耕さない年数が長いほど地中の炭素・窒素量が増えていた。耕さなければ肥料はいらない。人はより多くの食料を手に入れたいという欲求から土を耕し始めた。資本主義的な労働のスパイラルが始まったのはプロテスタンティズム以降かと思ってたけど、田畑を耕し始めた頃から始まったのかなーと思った。2014/06/25
Yoshie S
2
数年前に自然農を知り、畑に行ったりしているが、無施肥でも立派な野菜が収穫できることに違和感がなくなってきている。今は見よう見まねで実践している。 川口さんの名前だけは知っていたが、やはり凄い人。病気をきっかけに食料の在り方を考え、生活を改めるのとは多いのだけど、妥協しない姿勢がいろんな奇跡ともいえる出来事に導かれていくのだと思う。環境も自然も作物も、勿論人間も生き物。1つの生態が搾取を続けるのは不自然。 著者が言うように自然農に取り組んでいる方は穏やかな方ばかり。自然農が生き方そのものだからだろうか。2017/04/11
pucchi
1
川口さん近くに住んでるんで,幸せです! この地球に自然農法は今直ぐすべての農家が始めるべき!農薬はガンを作ります!怖い!2014/06/12
超介
0
耕作しないことの意味が理解できました。自然農法についてはその実践においても哲学が重要であるとわかりました2014/05/25