出版社内容情報
『中国化する日本』で話題の著者による全く新しい日本人論。日本史、国籍、民族などに根拠はあるのか? 社会学、哲学、文化人類学など様々な学問的アプローチを駆使した大学の人気講義を活字化!
内容説明
日本人は、日本民族は、日本史はどのように作られた?教養科目の人気講義が一冊の本に!
目次
1 入門編―日本人論を考える(「日本人」は存在するか;「日本史」はなぜ間違えるか;「日本国籍」に根拠はあるか;「日本民族」とは誰のことか;「日本文化」は日本風か)
2 発展編―日本人論で考える(「世界」は日本をどう見てきたか;「ジャパニメーション」は鳥獣戯画か;「物語」を信じられるか;「人間」の範囲はどこまでか;「正義」は定義できるか)
著者等紹介
與那覇潤[ヨナハジュン]
1979年生まれ。愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授。東京大学教養学部超域文化科学科卒業、同大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。専門は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
31
文庫で読んだ履歴があったことを少し読んだ後に気付きましたが、全て読んでみました。ここでいわれている再帰性とは、あえて無根拠だということです。実証性をかませて同一性を解体し、表象する。問題は、その上で表象されたものも、また無根拠だといわれかねないということです。最後に著者はそれでいい、その宙吊り(再帰的)で生きることに耐えることが人間的なのだといいます。しかし、その理想も単純な物語が語られることでかき消された感は否めません。著者が物語自体を否定していないのは近著『平成史』をみれば明らかです。2021/12/15
おおにし
21
髷を結った外国人力士が流暢な日本語でインタビューに答えているのを見ていると、この人はもしかして日本人なのではと思ってしまうことがある。前から日本人と非日本人を区別する基準はどこにあるのだろうかと思っていたが、この本で「再帰的」定義というものに出会い、何かすっきりした気分。「再帰的」定義とは、例えばある人が日本人かどうかの明確な定義はなく、皆が日本人だと認めた人が日本人なのだということ。そして歴史historyという物語storyを信じる人々の共同体が国家なのだという話に至極納得できた。2014/04/17
小鈴
19
子どもが中学か高校になったら読ませたい。日本人の起源について書かれたものなどではなく、「日本人」とはなんぞやという問いを通して、後期近代社会の知のあり方(再帰性)を分かりやすく説明しています。こういった内容の授業を地方国立大学の教養課程でも学べるようになったのは、70年代生まれの研究者が教壇に立つようになったから。親世代が学んだ背景にある知のあり方とは全く異なるので、どうも親と真面目に話しても話が通じないなというときに、この本を渡してもよいかもしれない(笑)。2013/10/28
Yukicks
13
再帰性という点から、民族、歴史、文化、正義、アニメ、物語、人間とは何な考察している。 人文科学全体を俯瞰できるような素晴らしい本。 絶対読む価値あり。2013/12/23
yamikin
12
再帰性をここまでわかりやすく、かつ前近代と近代とに分けて説明している本を私は他に知らない。おい、社会学者もっとがんばれよ!って思いに駆られる。時代ごとに日本人像が朝鮮人を含んだり、含まなかったりとゆらゆらと揺れ動いてきた、みたいな聞いたことのある話だけじゃなくてそれよりももっと広い物事の「見方」を説明してくれる本。これは今年のベスト3に入る本かもしれない。記述のほとんどが重要な箇所で、編集過程でかなり絞ったのだと思われる。素晴らしい!2013/11/25