感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
51
巻末を書いているのは亡き児玉氏。時代を感じさせる。前作は大聖堂を心の絆、支えとして精神世界が素晴らしかったが今作は宗教のよりどころが因習に凝り固まる権化となり、人々の心が揺れるさまを4人の彼 彼女らに託し描いている。着地が理想的という向きもあろうが私はすがすがしいマリア像の表情にも似た感懐を抱けた。下巻は数回 うねりを見せ盛り上がる。前作の子孫らが血の底に沈み 沈着、慈愛、凶暴、医学探求心、建築センス等々みせる。氏も育ちも・・なのだ。カリスとマーティンが撚り合す肉欲精神愛も物語を引っ張りたまらないね。2017/04/28
真理そら
50
『大聖堂』の続編。主人公は大聖堂建設という夢を持つ建築職人マーティンのはずだがカリスの生き方を描く方に力が入っている気がする。そのためマーティンがなぜカリスをそこまで好きなのかが伝わりにくい。カリスが女の幸せは妻として男を支えることなのかを悩む姿についていけない。中世イングランドの暴力やセックスや諸々の欲望にまみれた世界を読むのは楽しかったけれど中心を貫く愛の物語に共感できない自分が悲しい。出世していくマーティンの弟ラルフの満たされない思いは共感できた、ろくでなしだが魅力的ではある。2019/12/26
翔亀
33
【コロナ25-3】1348年、黒死病がイングランドを襲う。「ドゥームズデイ・ブック」【コロナ11】のオックスフォードの村や、「異星人の郷」【コロナ14】のドイツの村は全滅したが(ストーリー上の都合もあろう)、ここキングズブリッジでは多くの住民を喪うが、全滅するわけではない。史実では人口は半分とか三分の一なったなどと言われるが、残された人々のペストとの戦いの歴史が描かれる。ペストの第二波、第三波が襲ってくるのだ。3か月後と10年後に。旧態依然の聖職者と対抗しながら、診療所を作りついには街の封鎖に踏み切る↓2020/07/05
kinnov
28
現実と異なり物語は必ず終わりを迎える。登場人物たちと中世欧州を生きた今、終わりを迎えて欲しくはなかった。敵役ですら愛しい。かなり残虐だったり不衛生だったり、宗教の強さに違和感も抱くが、歴史の中に生きるとはその時代の価値観を共有する事だとすれば、これもまた読書の醍醐味だ。2つの時代の大聖堂を巡る物語の後、この巻の表紙に描かれた天使像が胸を熱くする。彼女だけでなく、全ての登場人物が英国で一番高い場所からキングズブリッジを見守り、街を行く人々は見上げればそこに彼等の存在を感じる事ができる。物語の力が作る幸福だ。2018/03/02
松本直哉
23
ベストセラーの前作の焼き直しとか、予定調和の勧善懲悪とか、悪口を言おうと思えばいくらでも言えるが、最後のページで、まるで大団円を飾る王冠のように、カリスをかたどった天使像が尖塔の上に輝くのを見て深い感慨を覚えた。旧弊な宗教ヒエラルキーに叛旗を翻すカリス、権力を振りかざす貴族階級に敢然と立ち向かうグウェンダ、さらに、ペストで夫を亡くしたあと代りに商店を切り盛りしたり、夫の出征中に家の事業を采配したり、暗黒と言われる中世にあっても、大胆に勇敢に前に出て、この世を生きやすくしようとする女性たちの姿がまぶしい。2026/03/16
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