出版社内容情報
法哲学に関する好評研究誌、待望の第２号。井上達夫による「応答的書評」等、今号も多様な論文で〈面白き学知〉を提供する。法と哲学のシナジーによる〈面白き学知〉の創発を目指して、法の現場から哲学に挑戦し、法学の前線から法を問い直す。第2号は論説4編と書評2編を収録した待望の法哲学に関する最新研究誌。注目は、井上達夫による、異例の性格を持った「応答的書評」で、学界の内発的紛争を活性化させる新たな試みが圧巻。
はしがき
◇論 説◇
1 順番が大事―世代間正義における現在世代の特別な地位について―〔若松良樹・須賀晃一〕
? はじめに
? 問題と脱出策
? 不自由確率
? 生存確率
? おわりに
2 高価な嗜好・社会主義・共同体―G.A.コーエンの運の平等主義の再検討―〔森 悠一郎〕
はじめに
? コーエンによる「アドバンテージへのアクセスの平等」と
非自発的な「高価な嗜好」への補償の擁護
? ドゥオーキンによる批判
? コーエンによる応答と非自発的な「高価な嗜好」への補償基準の再定式化
? コーエン＝ドゥオーキン論争の意味付け
? 再定式化された「高価な嗜好」への補償基準の批判的検討
? 結 語
3 法は一応の道徳的正当性を有するか―Ronald Dworkinの「一応の道徳的正当化テーゼ」と
法概念規定の批判的検討〔平井光貴〕
序 論
? 規範性に関する整理
? 一応の道徳的正当化テーゼの可否
? 一応の道徳的正当化テーゼが退けられることの含意
? 結 語
4 自然主義的道徳的実在論擁護のための2つの戦略〔蝶名林 亮〕
? はじめに
? 自然主義的道徳的実在論とは何か
? 自然主義のための説明的論証
? 道徳的性質の説明能力
? ボイド的規範倫理理論による論証
? 理論論証を巡る問い
? 他の規範理論への示唆
? 終わりに
◇書 評◇
１ 平等への妄執（obsession）を抉るロールズ論の好著2冊〔嶋津?格〕
［亀木洋『格差原理』（成文堂，2012年）／同『ロールズとデザート』
（成文堂，2015年）への連結的書評］
? はじめに
? 市民の社会的協働と所得分配
? 分配的正義
? 基礎構造と社会的協働スキーム
? 市場について
? デザート論
2 批判者たちへの「逞しきリベラリスト」の応答〔井上達夫〕
［瀧川裕英・大屋雄裕・谷口功一編『逞しきリベラリストとその批判者たち―井上達夫の法哲学』
（ナカニシヤ出版，2015年）への応答的書評］
井上 達夫［イノウエ タツオ］
東京大学大学院法学政治学研究科教授
