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晶文社ミステリ
最後の審判の巨匠

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794927453
  • NDC分類 943
  • Cコード C0397

内容説明

1909年のウィーン、著名な俳優オイゲン・ビショーフの家では友人たちが楽器をもって集まり、演奏に興じていた。歓談中、余興として次の舞台で演じる新しい役を披露するよう求められたビショーフは、役づくりと称して庭の四阿にこもった。しかしその後、突如鳴り響いた銃声に駆けつけた一同が目にしたのは、拳銃を手に握りしめ、床に倒れたビショーフの瀕死の姿だった。現場は密室状況にあり、自殺に間違いないと思われたが、客のひとり、技師ゾルグループは「これは殺人だ」と断言する。俳優の最期の言葉「最後の審判」とは何を意味するのか。ゾルグループが真犯人だという「怪物」の正体とは?折しもウィーンの街では不可解な「自殺」事件が頻発していた…。「重要な先駆」とバウチャーが賞揚、ボルヘスが惚れ込み、鮎川哲也や都筑道夫の言及でも知られる伝説的作品がついにヴェールを脱ぐ。

著者等紹介

ペルッツ,レオ[ペルッツ,レオ][Perutz,Leo]
1882‐1957。プラハのユダヤ人の一家に生まれる。1901年にウィーンに移住、文学グループに加わり、保険会社で働きながら執筆に勤しむ。第一次大戦中に発表した幻想歴史小説『第三の魔弾』(15)、パウル・フランクとの合作『マンゴー樹の奇跡』(16)は評判を呼び、一躍人気作家となる。つづく『九時から九時の間』(18)、『ボリバル侯爵』(20)、『最後の審判の巨匠』(23)、『どこに転がっていくの、林檎ちゃん』(28)などの作品は各国語に翻訳され、全欧的な名声を獲得した。独墺併合の1938年にテル・アヴィヴへ亡命。戦後はオーストリアとパレスティナを往復しながら創作を続けた。『夜毎に石の橋の下で』(53)はルドルフ二世の魔術都市プラハを描いた傑作。近年、世界的な再評価が進んでいる

垂野創一郎[タルノソウイチロウ]
1958年香川県生まれ。東京大学理学部数学科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

144
この作者の本は初めてなのですが、名前だけは私がよく読んでいる鮎川哲也や都筑道夫が書かれていて知っていました。1900年代前半に活躍した作家のようですが、この訳がいいのかあまり古臭さを感じませんでした。ミステリーなのでしょうが、どちらかというとホラー的な感じも受けます。途中経過がミステリー的な感じを与えるのでしょう。ほかの作品も読みたくなりました。2016/08/14

HANA

51
ミステリ?幻想文学?ジャンルの壁を軽々と突き破り、さらにそれさえも壊してしまうラストがなんとも言えない。謎めいた連続自殺事件を捜査する所までは確実にミステリなんだけど、最後でそれが一気に幻視に変わり、さらにはそれまで築いてきたトランプの城を一気に壊すようなあのラスト。賛否両論あるみたいだけど、個人的にはあのラストがあるからこそ終盤のあの描写が生きてくるように感じた。それにしてもトリックの種といい、実行した後といい、実に自分好みでここで詳しく感想書けないのが残念で仕方がない。後書きの充実っぷりも特筆もの。2013/06/12

りつこ

28
面白かった!「夜毎に石の橋の下で」とはまた全然違う雰囲気。解説を読むと(この解説がむちゃくちゃおもしろい!)ぺルッツという人は血の気が多くてバイタリティに溢れた人だったらしい。「夜毎」を読んだときはなんか深遠な印象を受けたのだが、こちらからはちょっと禍々しさというか眉唾っぽさも漂っていて、俄然好きになった(笑)!これが1923年に書かれたなんて。創造力は時代を越えるなぁ。2014/01/09

星落秋風五丈原

27
俳優が四阿で亡くなっていた。部屋は密室状態。さて犯人は?ミステリを書いたつもりはない、との作者コメントですが今まで読んできたペルッツ作品の中で『えっ?こんな終わり方するの?何だこれ!』と一番意外。いやだってラストでちゃぶ台ひっくり返したようなものでしょう。うわ来たよ信じられない語り手だったのか。巻末解説が面白かった。2015/10/27

きゅー

23
犯人探しというミステリ的な形を取りつつも、本質的には怪奇・幻想小説となっているところがペルッツらしい一作。中盤からの展開はひどくオカルトじみており、たとえばホフマンやフーケーなどドイツロマン派の系譜を見て取れる。そうやって物語らしい物語の展開が続くので、ついうっかりレオ・ペルッツを19世紀、あるいは18世紀の作家と勘違いしてしまいそうになったところに、終盤の大きな仕掛が効いてくる。なるほどたしかにこれはミステリではないし、単純なオカルトでもなく20世紀文学だったと頷いてしまった。2013/05/09

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