出版社内容情報
私たちは「子どもの自殺」をどう語ってきたのか? 真の対策への第一歩のために――。子どもの「いじめ自殺」が報道されるたびに大きな衝撃を受けるが、そのたびにすぐに忘却してしまう、この社会。教育社会学の第一人者が、自殺とい
内容説明
「いじめ自殺」が報道されるたびに社会は心を痛めるが、いまだ問題解決に踏み出せないでいる。議論するかのように見えて「消費」するだけで終ってしまう現状を精緻に分析。本当に有効な対策のための突破口を提示する。
目次
第1章 子どもの自殺という社会問題(自殺とは何か;自殺への社会学的アプローチ ほか)
第2章 「いじめ自殺」の発見(いじめによる自殺の「発見」;「いじめ」という概念の創出 ほか)
第3章 「いじめ自殺」のロジック(加害者/被害者という基本的構図;「いじめ自殺」における加害者とは誰か ほか)
第4章 消費される「いじめ自殺」(「いじめ語り」と自己;「いじめ語り」とアイデンティティ ほか)
第5章 「いじめ自殺」を超えて(いじめ問題の何を変えるべきか;いじめ問題の「オルタナティブ・ストーリー」 ほか)
著者等紹介
伊藤茂樹[イトウシゲキ]
1963年生まれ。東京学芸大学助手、聖徳学園岐阜教育大学講師を経て、駒澤大学総合教育研究部教授。専門は教育社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Riopapa
8
ここ数年、身近なところで子どもが自らの命を絶つということが起こっており、何かヒントにならないかと読んでみた。マスメディアでターゲットにされるのは学校とか教育委員会であるが、ネット上では加害側とされる子どもたちの個人情報が晒されたりしている。これもいじめの構図そのものである。学校や教育委員会を糾弾するマスメディアの姿勢には違和感を感じる。根本的には不寛容な正義の問題になるのだろうか。2017/06/04
しゅんぺい(笑)
4
子どもの自殺、が社会でどのように語られているのか、その語られ方にはどのような背景があるのか、という本。 いじめ自殺を語るときに世間は被害者側に立って強い怒りを表現していることが多いけど、それでもどこか他人事のような印象があって、そんなぼんやりした思いをことばにしてくれた本。 いじめ自殺の語られ方に、もっとしっかりした方向が見えてくることを願う。解決なんてないのだけど、それでもね。2014/09/26
さとちゃん
3
感情的になりやすい「子どもの自殺」という現象を冷静に見つめたもの。世の中で起きる事象を捉える「目線」をどう意識するか、が大切なんだろうな。また1年後くらいに読み直してみたい本です。2015/08/18
鈴木律
1
社会の一般大衆は、いじめを糾弾することで自己欲求を満たし、ある意味で物語としてのいじめを消費しているという説。そのとおりだと思う。そのことは、いじめをなくす助けには一切ならないし、下手すればいじめられている子の自殺しようという気持ちの後押しにもなりかねないと。これもそのとおりと思う。今のいじめ自殺を取り巻く状況分析は的確だなと思う一方、じゃあどうすればという論点がとても弱い。まず大衆が、いじめ自殺物語の消費者であると気付いてないし、気付いても気にしない気がする。難しい……。2019/08/13
田中喜一
1
Twitterでいじめられた経験を語るのは結局オナニーでしかないよね!とのことです。まあでも加害者側にたって喋ると袋叩きになるししょうがないよね。イジメを天災的にとらえたほうがよくね?という提案とかもあり良い2014/12/16