内容説明
地中生活の長いセミに生きる歓びはあるのか、そして如何に夏の到来を知るのか。飛ぶのに4枚ばねが効率的なのに2枚のはねの昆虫が多いのはなぜか。なぜ蛾は嫌われるか。アリやハチたちの知られざる役割分担…。光と闇、寒暖など自然に鋭敏し感応し、懸命に生きる小さな生命の驚異と不思議。
目次
プロローグ フェロモンの神話と勘違い
環境を生きる(ギフチョウのカレンダー;時を知るきっかけ;環境を分ける ほか)
僕らはみんな生きている(アリのコンパス;体温調整;何を食べるか ほか)
動物と人間の間(チョウのうる風景;昼のチョウと夜のチョウ;チョウたちの情報)
水中昆虫
3昆虫学ってなに?(六本の足;四枚のはね;カブトムシの悲劇と甲虫の繁栄 ほか)
エピローグ 湖の国から
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930‐2009年。東京生まれ。東京大学理学部卒業。専攻は動物学。京都大学理学部部長。滋賀県立大学初代学長、総合地球環境学研究所初代所長等を歴任。ティンバーゲン、ローレンツ、ドーキンスらの日本への紹介者としても知られている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おりがみ
5
動物行動学者日高敏隆のエッセイが数多く収められています。思い込みでそのままにしてしまいそうだったり、気にもとめないような昆虫たちの所作に「なぜ」を求める姿勢に敬服するばかりです。Ⅲ部の昆虫の「翅」に関するくだりはややマニアックです。生き物目線の親しみやすい文章でありながら具に観察しているからこそ素人の私でも読みたくなりました。幅広い世代の人に勧めたくなる魅力のある一冊です。2019/01/04
tom
4
昆虫の雌は性フェロモンを出していて、雄は遠いところから、フェロモンを関知して雌を探し出し、生殖をすると読んだことがある。性フェロモンはすごい、昆虫もすごいと思っていた。でも、これは、30年も前に言われた学説で、いまでは「性フェロモンの神話」とされているとのこと。性フェロモンの射程範囲は、せいぜい周囲30センチ、雄はうろうろと雌がいそうな場所を探し回り、ようやくフェロモンを関知するというのが実態らしい。これにはちょっと驚いた。知らぬこと、勝手に思いこんでいることがいっぱいあるなあと、けっこう楽しく読めた本。2013/03/21
takao
2
ふむ2022/09/26
はるお
0
虫にまつわる不思議が、簡易な文体で短めのエピソードでいくつも書かれている。小中学生にも読んでほしい。2015/07/08
rinpei
0
翅の起源、側板説を取って、気管えら説には何も触れていない。17年ゼミについても寄生体説のみで、「素数ゼミの謎」を著した吉村仁氏の説については何も触れていない。無翅昆虫は昆虫か、これには形態的、つまり解剖学的知見よりも系統発生学的知見が直接解を示すはずだが、それについては全く記載なし。系統発生学的知見が今のところ全くないという事なのだろうか? 近い将来、これらについて是非とも著して欲しい。2018/03/08
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