内容説明
排泄物や死骸を糧とするフンころがし(フン虫)は、自然界の底辺で壮大な循環を支える貴重な生き物だ―。長年にわたってフィールドワークを重ねてきた第一人者が、フンころがしと生物多様性の切っても切れない世界観を、つぶさに確かめ描きなおす、ユニークな昆虫記。
目次
1 自然学への道(今西錦司先生の「自然学」を読む;遠い日々の記憶・原風景;京都北山・糞虫の発見;私の自然学への道)
2 「フンころがし自然学」の風景(ファーブル『昆虫記』は自然学;聖なる虫=スカラベ;糞虫考;糞虫考現学;糞虫の種社会・分布;糞虫地理学から風景論はの展開;糞虫と野生動物の創る風景;糞虫の生息空間;糞虫の道=生態回廊;都市・里山の風景論;京都御苑の自然学・風景;散歩道・雲母の森から)
3 日本列島の自然学の風景―フィールドノートより(オホーツクの風景;北の島の風景 利尻・礼文・トド島;イーハトーブの糞虫たち;生と死の連鎖を見た日;「山の牧場」の風景;蓼科山のふもとから;糞虫の聖域=奈良;高地性コウチュウについて;近畿圏の特異性;冠島・無人島・生と死の風景;兵庫県から宮古島・台湾;三瓶山「山の牧場」・ダイコクコガネ;隠岐の糞虫;対馬紀行;四国・糞虫のいる風景;アカマダラセンチコガネとムネアカセンチコガネ;屋久島・世界遺産の島;北海道から南西諸島までの物語)
4 生きもの社会再考(群・家族・種社会;食の順位のモデル;種社会の構造とモデル;ビオトープと種社会)
5 二一世紀「生物多様性社会」の構築(マンダラ=モデルという考え方;生物多様性社会から共生へ;絶滅危惧のフンころがしたち)
著者等紹介
塚本珪一[ツカモトケイイチ]
1930年京都生まれ。応用昆虫学。平安学園教諭、北海学園北見大学教授、平安女学院大学教授などを歴任。自然活動の指導者としても全国各地で活躍。登山・調査=1965:カラコルム、ディラン峰。1968:カフカス、ウシュバ峰。1977:カラコルム、日本K2(学術隊長)。1980、1981、1989:中国、コングール峰。1983:カラコルム、6885峰。1986:中国、太白山。1989:中国コングール登山隊(副総隊長)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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