内容説明
「生活下げて日の丸上げよ!」「裸授業で体を鍛えよ!」「一升瓶で空襲に備えよ!」「人間魚雷を発明せよ!」…「不敗の神国日本」の総動員体制を支えた愛国者たちは、どのようにして育成されたのか。哀れにも滑稽なアジテーション群を掘り起こし、その「愛国心」のかたちを探究!
目次
1 ものすごく高く「日の丸」を掲げよう(国威宣揚「日の丸」展覧会で勉強しよう;「日の丸」のテーマソングで踊ろう ほか)
2 よい日本人になろう(銃後は女性に任せて安心しよう;こんどは「君が代」で踊ろう ほか)
3 撃ちてしやまむ!(みなさんの敵をはっきりさせよう;突撃しよう ほか)
4 よくわからないけれど愛国心(ヒトラー・ユーゲントを富士山に連れていこう;日劇ショー「ハイル・ヒトラー」を見にいこう ほか)
著者等紹介
早川タダノリ[ハヤカワタダノリ]
1974年生まれ。フィルム製版工などを経て、現在は編集者として勤務。「虚構の皇国blog」などでも発信中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更紗蝦
18
子供をターゲットにした、あるいは子供を利用した戦時下政策が数多く紹介されています。学年誌や夏休みの宿題帳を開けば軍国美談。男児の七五三のお祝いには海軍将校服コスプレ。幼稚園協会は幼児にお小遣いを「献納」させようと画策し、小学校(国民学校)では「戦争ごっこ」を“教育”の一環として推奨。一番痛々しく感じたのは、「実質剛健」のかけ声のもとに男女問わず学校でハダカでいることを強要していた新潟県の市之瀬国民学校や静岡県の大久保小学校の話で、これが当時は美談扱いだったと思うと頭がくらくらします。2015/02/21
おかむら
8
戦時下の各種珍妙プロパガンダ広告集。なにやってんだか昔の日本人は。いま見ると笑えるけど、でも戦争に突き進んで行く時って日本人てまた大真面目にこういうことやりそうでちょっと怖いかなと。2014/04/02
みなみ
7
見開き2ページで左は写真、右は解説というレイアウトなのであっという間に読み終わった。戦中の日本の愛国広告や記事を皮肉たっぷりにイジり倒した本です。幼児から寄付を集めて飛行機をつくる企画→見出し:幼稚園児のお小遣いを巻き上げましょう みたいな(笑)いちいちツッコミが面白いが、愛国日本の文章はツッコミを入れながらでないとまともな気持ちで読めないとも言える。当代随一のアーティストが愛国コピーを作ってたり愛国詩人になってたりするのが1億みな戦争協力ってカンジで切なくなる。○○お前もか……の連続。2021/11/10
Aby
6
戦時下の愛国キャンペーンとそれの便乗商法にツッコミをいれる.見開き1項目で,左に図版,右に解説.鵜飼 秀徳「仏教の大東亜戦争」で触れられていた「戦時戒名」のマニュアル本があった.◆これらと同じノリの21世紀人を見かけることがあるのが,空恐ろしい.2023/06/23
早乙女
4
国家総動員体制へ向けてのアジテーション・企画・スローガンを集めた本。無茶苦茶なもの、ひたすら精神論で押し通すものなど、頭の痛くなるいかれたものが目白押しだったが、これが上からの強制というより自主的にここまでやったのが凄まじい。本当は軽く笑い飛ばしたいところだが、報道機関が政府に阿りネット憲兵な連中が跋扈する今を思うと洒落にならないと思った。 著者の早川氏はこう言っている。「愛国の技法」とは要するに「有無をいわせぬ大義を振りかざして、思い通りに他人を支配する技術」のことなんです。2014/02/06