内容説明
日本の詩の現在、その新たな脈動。詩集160冊、玩読。
目次
1(換喩的現在;換喩の転位、転位の換喩;俳句、驚愕をつなぐ声の力;吉本隆明の「悔恨」;『スタンツェ』に導かれたいくつかの断章;喩についてのいくつかの断章;像と自己再帰性;自己像と不可能な換喩;音韻・気息・換喩)
2(ネット詩と改行詩のゆくえ;詩は終わるはずがない;複声性/変圧器/聴像性;詩作倫理;改行倫理;中堅の詩法こそが詞的世界を飽和している。;詩と空間について)
著者等紹介
阿部嘉昭[アベカショウ]
1958年東京生。評論家、著書多数。北海道大学文学部准教授、映画・サブカルチャー研究、詩歌論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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s_i
4
詩を読むことは詩の外を必然的に巻き込む、その端的なあらわれが換喩であり、それは物理的に詩と関わり合うための時空間を成立させる媒体としての「わたし」の前景化を要請する。同時に、それは「詩の物質性(あるいは自由)」によって棄却される詩の「自体性」の様態(たとえば技術)を、読む前に詩が存在するという前提から入りつつ、自身の詩を巡る知覚の検討によって分節化し、思考可能にすることでもあって、だから、そこにはある意味で「言語美」に匹敵する読む私の没入がある。でもそこそこ意味のとれない隠喩を多用するのが読みにくかった。2015/03/27