出版社内容情報
お月さまの大好きな少年ミシェルの言葉に託して、夢のないおとな、戦争の絶えない地球文明への批判が語られる。ファンタスティックな絵が魅力。(楽譜つき)内藤濯/訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
163
目を閉じると見えてくる。真ん丸のお月さま。本当に見えてくるんだよ。いつも一緒なんだ。ちゃんと微笑んでくれるんだ。月がない夜は時々悲しくなるけれど、小さなお星さまがきらきらしていれば、一瞬の美しさを照らしてくれるんだ。夜明けの空に灯りが見えなくなっても必ず何処かで輝いているはずなのに、この地球にもたくさんの素敵なものがあるはずなのに、なぜかオペラが聴こえなくなるくらいの嫌な音が、みんなの優しい歌声を掻き消してしまうんだ。だからぼくは夜が好き。静けさに耳を傾けられるから。ひとりの寂しさを忘れさせてくれるから。2022/08/20
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
72
雑誌ELLEのイラストレーターとして活躍したジャクリーヌ・デュエムさんの絵が美しい。物語は考えされられます。月の世界の素晴らしさを語る少年ミシェル・モランと大人たちの会話で進む物語は、やさしい黙示録のようです。会った事がないパパとママは地球に落ちてきた子どもで、今は月に帰ってしまった。月からやって来た人達はみな、帰ってしまった。戦争をする機械の音が騒がしかったから。「地球はとてもすばらしかったのに……」。作者のジャック・プレベール氏は、シャンソン『枯葉の』の作詞や戯曲『天上桟敷の人びと』で知られています。2015/05/25
mizuki
44
ジャックプレベールの繊細さが伝わってくる絵本でした。読み始めてすぐ、ひらがなで書かれているため、子ども向けの絵本だと思いました。しかし、月の人たちからのメッセージは、大人へ当てたものとなっています。どんな大人も、純真無垢な子どもから聞かされる「地球の叫び」を、とても重く受け止めることでしょう。素敵な調べと共に、月のオペラを楽しめる楽譜付き(*˘︶˘*).。.:*♡2017/05/09
陽子
30
ちょっとふしぎな気分になる絵本。おつきさまが空に光っていさえすればうれしがっている男の子。いつもさびしいかおをしている男の子は、おつきさまのことを様々に語りだす。「星の王子さま」っぽい夢想の世界。しかし、ラストでは思いがけない主張を聞く思いがした。「地球は素晴らしいけれど、月に帰ってしまう」その理由に。原作はフランスのシャンソンの「枯葉」の作詞者。2021/11/13
wildchild@月と猫
18
Twitterで見かけて気になり、図書館で取り寄せて読了。イラスト、文章共に幻想的で魅力的。 ジャック・プレヴェールがこんな絵本の物語も書いていたとは知らなかった。本編内には楽譜も収録されている。 ピアノをお持ちの方は、月のオペラを自宅で奏でて見られると良いかも。2021/03/05