出版社内容情報
樋口一葉、田村俊子、伊藤野枝、宮本百合子、
平林たい子、尾崎翠、佐多稲子、大田洋子、円地文子……
日本政府が主導する「明治百年」が騒がしく、
いよいよ戦前回帰が本格的に開始されている
現在こそ立ち返るべき女性作家たち。
近代女性文学のなかで、とりわけ近代の闇=家父長制を
裂くような不穏な闘いで挑んだ女性表現者やその表象を、
フェミニズム/ジェンダーの視点から追跡することによって、
殖産興業・富国強兵・アジア植民地化に邁進した
近代日本が根底的に問い直される本格的評論!
? 近代家父長制への抗い
樋口一葉「恋の狂気が意味するもの
――『裏紫』を読む」
田村俊子「初出『あきらめ』を読む
――三輪の存在をめぐって」
「〈愛〉の奴隷批判
――『生血』『彼女の生活』を読む」
「書くことの〈狂〉
――『女作者』論」
「〈妻〉という制度への反逆
――『炮烙の刑』を読む」
「〈悪女〉の季節
――家父長制秩序への反逆者たち」
? 社会変革への挑戦
伊藤野枝「彗星のごとき伊藤野枝」
宮本百合子「〈女の時間〉の記憶
――『二つの庭』のもう一つの語り( ナラティブ)」
「『道標』と女のふたり旅
――今日問いかけるもの」
「女性文学にみる抵抗のかたち
――〈左翼系作家〉の家父長制とのたたかい」
平林たい子「反逆する文体」
「プロレタリア文学とジェンダー
――女性表現における〈労働〉の発見」
? 戦争の時代と、終わりの惨劇
尾崎翠「不安の文学 〈母性〉からの離陸とその挫折
――尾崎翠における自我の構図」
佐多稲子「佐多稲子の〈記憶〉が問いかけるもの」
「『牡丹のある家』の世界」
「佐多稲子における愛と性
――『くれない』と『灰色の午後』の時代」
「〈美人〉作家の効用
――アジア太平洋戦争下の中国戦地慰問」
大田洋子「『桜の国』成立前後」
「二一世紀への警鐘
――原爆体験の語り部 大田洋子の生と文学」
? 老いの創造力
円地文子「遊魂の悦楽/狐火の如き老いのエロス
――妖艶なる老年文学」
長谷川 啓[ハセガワ ケイ]
著・文・その他
内容説明
日本政府が主導する「明治百五十年」で騒がしく、いよいよ戦前回帰が本格的に開始されている現在こそ、近代女性文学のなかでも、とくに近代の闇=家父長制を裂くような女性たちの不穏な闘いに挑んだ表象や表現者をフェミニズム/ジェンダーの視点から追跡することによって、殖産興業・富国強兵・アジア植民地化に邁進した近代日本を根底的に問い直す!
目次
第1部 近代家父長制への抗い(樋口一葉論;田村俊子論)
第2部 社会変革への挑戦(伊藤野枝論;宮本百合子論;平林たい子論)
第3部 戦争の時代と、終わりの惨劇(尾崎翠論;佐多稲子論;佐多稲子・真杉静枝論;大田洋子論)
第4部 老いの創造力(円地文子論)
著者等紹介
長谷川啓[ハセガワケイ]
1941年、札幌市生まれ。法政大学大学院人文科学研究科修士課程修了、姫路独協大学助教授、城西短期大学教授を歴任。近現代女性文学を研究。日本社会文学会、日本近代文学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。