出版社内容情報
手塚治虫のマンガと言葉で読む戦争!!
手塚治虫は、太平洋戦争当時、大阪大空襲に遭遇して九死に一生を得た経験がある。そうしたことから手塚は、数多くのマンガ作品の中で、戦争の悲惨さや無意味さを描いてきた。
本書はそんな膨大な戦争マンガの中から10作品を厳選して収録したアンソロジーである。
また手塚は講演会やエッセイなどで機会があるごとに自身の戦争体験を語り、戦争反対を強く訴え続けた。本書にはそうした戦争について語った手塚自身の「言葉」も収録している。
戦争とは何か、なぜ戦争はなくならないのか、いま日本で戦争が起きたら自分たちはどうなってしまうのか。本書に込められた手塚治虫からのメッセージは、戦争を経験したことのない若い世代にも、戦争を考える格好の機会を与えてくれるはずである。
監修は手塚治虫の長男でヴィジュアリストの手塚眞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン2号
14
手塚さんが戦争に関する作品を多く描いていることはよく知られていることだと思う。文章でも何度も触れている。本書はそれらのアンソロジーで、4つの章にわけて太平洋戦争時代から未来の戦争まで、各テーマに関係するような作品が選ばれている。本書のようなまとめ方をしてもらうと、各作品のテーマもよりクッキリ浮かび上がる。しかしながら、読み終えるにある程度時間がかかってしまった。そんなに簡単に全部を読み通せる内容ではなかったからだ。2023/08/24
直人
5
監修は手塚眞さん。 手塚先生の戦争体験とそれにまつわる著作が何本か載せられている。 400ページ超という大作で,いろいろなことを感じさせ,考えさせられる。 人間は成長しているようで,いっさい成長していないのかも。2023/09/24
ひびキング
3
実はそれほど読んでいない神様。最近出たこれは神様の戦争体験から創作の根にあるものが想像できて良い作品集ではあるのかも。一方でマンガ世界の発展というか拡張というか、作品そのものや表現手法などグローバルを包み込む巨大なモノになってしまってる今。神様が唯一無比という風に感じられるものではなく。子供の頃に読んでたブラックジャックはとっつき易い。まぁ、人間バカだけど神様が危惧してたほど愚かでもないような気もします。2023/10/14
かわせみ
2
戦争をテーマにした手塚作品のオムニバス。「ブラック・ジャック」や「火の鳥 未来編」、「鉄腕アトム」など戦争を題材にした漫画作品と、手塚氏が生前語っていた戦争と平和への思いなどからなる本。特に手塚氏のインタビューはたいへん興味深く、死去される1989年以前の言葉ながら、まるで発せられたのが昨日の言葉のように現代日本との共通点が多く、時が止まっているかのような錯覚を覚えてしまう。実体験、新聞で知る戦争、SF的な空想などの作品が並ぶが、どれも後味が悪く、戦争は何ももたらさないというメッセージが読み取れる。2023/09/17
ray
1
☆3 戦争中に書かれたものは、戦争が普通の日常の一コマと言うような感じで淡々と書かれていることがかえって空恐ろしい。印象に残ったのはアトム今昔物語のベトナムの天使(ベトナム戦争)、時計仕掛けのりんご(軍による情報統制)。未来の戦争を描いた作品では二つとも地球壊滅で終わっていて、恐ろしいほどの危機感を持っていたのがわかります。2023/09/16