出版社内容情報
シリーズ5作目は「三畳紀の生物」。地球史上最大の絶滅事件により古生代が終了、時代はついに中生代に突入。中生代最初の時代・三畳紀になると、いよいよ恐竜が登場する。しかし、恐竜だけがこの時代の“登場人物”ではない。イルカのような姿をした魚竜たち、愛嬌ある姿のプラコドンたち、翼竜をはじめとする空飛ぶ爬虫類。そして、登場したばかりの恐竜たちを圧倒する「クルロタルシ類」との仲間たち。恐竜は勿論のこと、恐竜以外の生物にもぜひご注目頂きたい。三畳紀で繰り広げられる、恐竜と恐竜以外の生物たちの生存競争。そして、恐竜はいかにその競争を勝ち抜いたのか。その秘密が、三畳紀には隠されている。
目次
1 大絶滅から一夜明けて
2 再構築された海洋生態系
3 水際の攻防
4 テイク・オフ!
5 クルロタルシ類、黄金期を築く
6 大繁栄の先駆け
7 第4の大量絶滅事件
エピローグ
著者等紹介
土屋健[ツチヤケン]
オフィスジオパレオント代表。サイエンスライター。埼玉県生まれ。金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学、古生物学)。その後、科学雑誌『Newton』の記者編集者、サブデスクを担当。2012年に独立して現職。フリーランスとして、日本地質学会が年2回一般向けに発行する広報誌『ジオルジュ』でデスク兼ライターを務めるほか、雑誌等への執筆記事も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨクト
26
個人的待望のシリーズ第五巻。ついに時代は三畳紀に至る。ペルム紀で発生した生物多様性爆発からの大量絶滅、そして多様化、そして大量絶滅、そして恐竜が跋扈するジュラ紀へ。この大量絶滅の狭間にあるのが三畳紀である。大量絶滅を生き延びた生物たちは更に大きく変化する。恐竜の序章がここからはじまるが、本書の主役は恐竜ではない。2015/07/19
たまきら
19
大好きな中生代へ。非常に興味深かったのは、三畳紀という長い時期を席巻していたクルロタルシ類(ワニとして現存しているとされる)の大量絶滅である。彼ら亡き後の王座には恐竜が座り、やはり白亜紀末期に絶滅(鳥類として現存しているとされる)するのだが、大量絶滅の原因がまだ判明していないこの絶滅には興味がそそられる。収斂進化は非常に興味深いものがある。長く続く生物たちの多様性にはただ驚くばかり。そういえば中生代はカバみたいな植物食のワニもいたんだっけ…。ラッセル教授の恐竜人間だって笑い飛ばせないわけです。2017/02/14
更紗蝦
17
カメの甲羅は皮膚が変化したものだとずっと思い込んでいたのですが、まさか肋骨が変化したものだったとは…! 哺乳類の耳を構成している「キヌタ骨」と「ツチ骨」は、元は顎の関節をつくる骨だったという話も興味深いです。骨って意外な形に変化するんですね。2016/12/01
白義
13
二つの大量絶滅に挟まれた三畳紀を一言で表すなら、爬虫類の時代で決まりだろう。海、空、そして陸を多様な進化を遂げた爬虫類たちが支配し、その印象は後の恐竜の覇権時代と変わらないように見える。しかし三畳紀において恐竜はまだ小さな脇役で頂点ではない。この時代、パンゲア大陸の頂点に立つのは、まるでワニ寄り恐竜のような「クルロタルシ類」で、表紙のデスマトスクスもこのグループの一員。多様性も恐竜より秀でたこのグループが大量絶滅に対応できず、次代の覇権を恐竜に譲った理由は、恐らくただの偶然、運だという。生命史の本質である2017/03/14
えすてい
12
エピローグにて。三畳紀末の大量絶滅(ビッグファイブの4回目)で、クルロタルシ類は壊滅したのに、恐竜は生き抜いた。これは運だという説が書かれてる。クルロタルシ類は運が悪く、恐竜は運が良かった。進化においても運が重要だということは、必ずしも環境に適応していた生物のみが生き残るということを意味しない。進化と絶滅に絶対的な正解はなく全てが自然環境の流れの中で偶然の出来事なのだから、運の分岐点がどこにあるのかは私には分からないが、運説は納得できる。しかし、この本では古竜脚類のプラテオサウルスが出てこないね。2019/05/22
-
- 和書
- 「反原発」異論