内容説明
自ら期するところあって晩年八年間の歳月を費やし、残り火のすべてを、爆発的に燃焼させて執筆した五巻九冊に及ぶ白眉の“伊藤戦史”の冠頭をかざる感動の代表作。後世に語りつがれるべき太平洋海戦史の決定版。
目次
艦隊成るまで
真珠湾の回想
順風満帆の緒戦
ミッドウェー海戦
ソロモン消耗戦
マリアナ海戦
レイテ海戦
二つの特攻作戦
結論
著者等紹介
伊藤正徳[イトウマサノリ]
明治22年、茨城県水戸市に生まれる。大正2年、慶応大学理財科を卒業。時事新報社に入社する。昭和3年、編集局長となる。その後、中部日本新聞主筆、共同通信社理事長、日本新聞協会理事長、時事新報社社長、産経時事主幹、産経新聞顧問等を歴任する。第一級の海軍記者として活躍。昭和37年4月21日歿
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感想・レビュー
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白義
15
著者が日本海軍への鎮魂歌として著した太平洋海戦史のロングセラーであり、情感に満ちていて旧き時代を知るものの露骨な感傷とも言える哀悼が全編を貫くが、その中に分析的視点も光り単なる回顧に留まってはいない。ミッドウェー、レイテ、特攻作戦と未だに語られる作戦の数々を詳細に、かつ読ませる戦記文学としても格調高く描き、栗田ターンについて栗田健男自身に戦後直接尋ねたインタビューも収録されているなど資料価値もある。ここに記された多くの説が覆された今となっても未だにこの分野でまず一読すべき基礎文献としての地位は失っていない2016/01/21
NICK
7
某ゲームを遊ぶにあたって「ソロモン沖」とか「マリアナ沖」とか果ては「レイテ沖」すら全く知らなかった。それで海戦史というものに手を出してみた。世界第三位ともいわれた帝国海軍の連合艦隊の輝かしい戦歴、そしてその零落を余すことなく記述しており、戦時中の艦隊戦の流れを追うのにはちょうどいい本だ。愛国心だの犠牲心だの大和魂といった言葉がやや肯定的に用いられているのは若干鼻につくが、散っていった何十万という将兵を海戦史という形で弔辞をあげ弔うのがこの本の目的ではあるし、史実の分析眼も鋭いので、あまり問題ではない。2014/04/24
そらのひつじ
4
長く出版され続けてる本だけに、先の大戦において、日本海軍連合艦隊が如何に戦い、最後を迎えたか、鋭い分析と丁寧な解説が冴えている。特攻など自己犠牲の尊さを讃えもしているが、あくまで著者の感情であり、主義や思想を説く印象ではない。そのため史実を知ることを目的に読めた。わずか前に繰り広げられた戦いが、かくも絶望的で壮絶であったとは、驚きと暗澹の思いの連続だった。決して繰り返してはならない歴史だと再認識した。2014/09/24
yuji
3
戦後10年の本でまだ歴史になっていない海軍艦隊戦記の総集編となっている。艦隊を擬人化し艦隊の死をお葬式とした記事で、生き残った人へのインタビューのため生々しい。記者の主観もたっぷり。レイテ沖海戦が連合艦隊の最後の艦隊戦となった。この海戦では同時に4つの海戦が多元的に実行され、栗田艦長の反転には後付の非難ではなく同情的な内容となっている。大本営が命令違反としなかったところからも伺える。他の海域での状況が届かず、熟練度が落ちた兵力では全滅か撤退かの判断を迫られたに違いない。戦後、多くを語らなかったと聞く。2022/01/26
京橋ハナコ
3
ずいぶんと感情的だなあと思った。戦後十年というのはまだまだそういう時期かとも思う。2015/07/14