内容説明
シェアリングとスマホ決済の生活への浸透が、社会管理と人間関係に巨大な変化を及ぼし、そこで集積されたビッグデータが消費財の生産管理に活用され、さらには資源配分に及びつつある…。中国は、オーウェルの危惧した超管理社会となるか、それとも人工知能(AI)の力を借りて「デジタル・リヴァイアサン」という怪物を飼い慣らし、官僚制を克服し人々の生活に奉仕させるもう一つの新しい可能性の実現に向かうのか?だれも書かなった現代中国論。
目次
第1章 中国を変え、世界を変えるEV車―新社会階層が誕生しET革命を爆進する中国
第2章 「移行期の中国経済」の高度成長
第3章 現実化するデジタル・レーニン主義―ビッグデータとデジタル・リヴァイアサン
第4章 電脳社会主義の必然性―テクノファシズムをどう防ぐか
第5章 習近平思想―電脳社会主義の舵手
第6章 一帯一路が導く全方位外交
補論1 チャイナセブンをめぐる大誤報
補論2 喉の小骨と化した尖閣紛争
著者等紹介
矢吹晋[ヤブキススム]
1938年生まれ。東京大学経済学部卒。東洋経済新報社記者、アジア経済研究所研究員、横浜市立大学教授を経て、横浜市立大学名誉教授。(財)東洋文庫研究員、21世紀中国総研ディレクター、朝河貫一博士顕彰協会代表理事。著書多数。『習近平の夢―台頭する中国と米中露三角関係』(花伝社 2017)で第5回「岡倉天心記念賞」最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
13
「デジタル・レーニン主義」といった新語が目につくが、西側民主国家のような個人情報保護など全く気にせずビッグデータを収集できる所が中国の強みでもあるのだろう。◇本書で注目した点は、中国の公務員法で任期は「2期10年」と定められており、国家の規定が党側人事にも援用される基本事項を日本のメディアや識者が把握せず、昨年の党大会人事で「七上八下」の慣例にとらわれた報道に終始した事への痛烈な批判。しかし本書出版後、法改正で国家主席の任期制限は撤廃された。これが2022年にどう影響するか著者の見解を聞いてみたい。2018/10/02
kenitirokikuti
7
2016年8月16日、〈中国科学院国家宇宙センターは世界初の量子科学実験衛星「墨子号」を長征2号(CZ-2Z)ロケットで打ち上げた。〉▲1982〜3年の出来事。82.9に鄧小平は金日成を四川省に招いた。改革開放のモデル、深圳経済特区の意義を説くためであった。翌年、名代として金日成が深圳へゆく。しかし、金親子は「修正主義」として拒む。以後、中国は韓国へシフトする。大韓航空機撃墜は、北朝鮮が中ソのソウル五輪参加意向への警告テロ(矢吹氏が当時北京で聞いた話)。2018/11/11