内容説明
尖閣紛争をどう解決するか。「棚上げ合意」は存在しなかったか?日中相互不信の原点を探る。日米安保条約は尖閣諸島を守る保証となりうるか?紛争の火種となった外務省の記録抹消・改ざんを糺す。
目次
序章 尖閣国有化は何を引き起こしたか―私の備忘録から
第1章 尖閣交渉経緯の真相―「棚上げ合意」は存在しなかったか
第2章 中国側の怒り
第3章 尖閣をめぐる日中の見解の対立点
第4章 パンドラの箱を開けた後で―私の尖閣論
第5章 日中相互不信の芽は復交の原点に潜んでいる
第6章 日中不信と米中蜜月=チャイメリカ
第7章 岡田充著『尖閣諸島問題―領土ナショナリズムの魔力』(蒼蒼社)を推す
第8章 日米安保条約は尖閣諸島を守る保証となりうるか
第9章 中国共産党第一八回全国代表大会を読み解く
第10章 矢吹氏に聞く―尖閣問題をどう解決するか
著者等紹介
矢吹晋[ヤブキススム]
1938年生まれ。東京大学経済学部卒。東洋経済新報社記者、アジア経済研究所研究員、横浜市立大学教授を経て、横浜市立大学名誉教授。(財)東洋文庫研究員、21世紀中国総研ディレクター、朝河貫一博士顕彰協会代表理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Akimichi Tobita
0
先日、著者のお話を生で聴く機会がありその場で注文してしまった。人脈が半端ではなく、共産党幹部などとパイプがあり、具体的な名前がポンポン出てきて「大丈夫か?」と心配するほどのお話を聞けた。本文も、何故今こんなに問題になっているのか歴史的背景と流れ、外務省のことなかれ主義・・・。もめたくなかったら、最初から声高に、強硬に対抗措置をするべき。ちなみに、本書はプレミアがついているのか現在、値が上がってるが、定価で購入できるのでお気をつけて。高額で購入してしまったが後悔はなし!!2013/09/08
加藤久和
0
著者は中国専門の研究家だけに内外の文献を読み込んだ上で説得力ある議論を展開している。この本のポイントは1972年の日中国交正常化交渉における田中角栄と周恩来の会談の際に尖閣問題の棚上げが合意されたが、外務省がこれを会談記録から抹消するという改竄を行っていたことを暴露したことにある。このことが現在に至るまで日中間に摩擦を生む原因となった。著者は尖閣カルトの存在を指摘するが、その中心には間違いなく外務省が位置しているであろう。また尖閣は日清戦争のどさくさに台湾割譲の一環で日本が取ったものだという指摘は重要だ。2013/03/24