内容説明
収集、出納、館外貸出、レファレンス、司書制度…明治時代に“ライブラリー”ができる以前の歴史を掘り起こす。
目次
第1章 古代・中世の図書館(古代の図書館;中世の図書館)
第2章 将軍専用の図書館・紅葉山文庫(徳川家康の図書文化への関心;紅葉山文庫;書物奉行;将軍徳川吉宗と紅葉山文庫)
第3章 藩校の図書館(藩校とは何か;昌平坂学問所と付属文庫;藩校文庫と「司書」;藩校文庫の利用実態)
第4章 庶民の読書ネットワーク―蔵書家・貸本家・蔵書の家(書物史としての江戸時代;都市の書物ネットワーク―貸本屋と蔵書家;村落の情報ネットワーク「蔵書の家」)
著者等紹介
新藤透[シンドウトオル]
1978年、埼玉県熊谷市生まれ。2006年、筑波大学大学院博士後期課程図書館情報メディア研究科修了。博士(学術)。現在、山形県立米沢女子短期大学准教授、(株)歴史と文化の研究所客員研究員。図書館情報学、歴史学(日本近世史)専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
8
古代中世にさらっと触れてからメインの江戸時代へ。家康の蔵書が紅葉山文庫に発展していく過程、文庫を管理する書物奉行の苦労、吉宗の文庫の活用と改革について。昌平坂学問所や藩校における蔵書の活用のこと、貸本屋の活動、町の蔵書家たちの本の貸し借りと情報交換のネットワーク。当時の人々と本との関わりを様々な方面から垣間見ることが出来てとても楽しい。蔵書家達はせっせと目録を作り、欠本は補充し、貸出規則作って貸出しもし、問い合わせに答えて考証レポートも書く。貸した本が返ってこなくて悩んだり、今も昔も変わらないなあと思う。2018/07/25
スターライト
7
『図書館の日本史』が面白かったので、同じ著者の江戸時代についての図書館事情が書かれた本書を読んでみた。将軍専用図書館としての紅葉山文庫、全国の藩で設置された藩校の図書館、武士だけでなく庶民も図書に親しみそのための機関があったとして蔵書家や貸本屋とそのネットワークを、主に貸出の側面から紹介。限定された人びとしか利用できない図書館もあったが、出版物の普及と識字率の向上から規則を設けながらもより多くの人びとが利用していく様子が豊富な事例で裏付けられていた。ペリー来航や大塩平八郎の乱の報の素早さには驚いた。2020/10/08
qwer0987
4
図書館文化史はジャンルとしてはマイナーだけど、読みやすくわかりやすいおかげか実に楽しく読めた。知らないエピソードも多くて非常に面白い。徳川家康が本が好きで、書を刊行していたという話や、徳川吉宗が本が好きで、紅葉山文庫をフル活用し、書物奉行を振り回していた話は興味深く、意外な一面を知ることができる。そして感じるのは、昔の人も本が好きだったんだなということだ。本を貸し借りすることで生まれる庶民のネットワークには、本が知識と人との繋がりを広げてくれる様を見る思いがした。2017/09/27
四不人
3
江戸時代の出版や書籍については色んな本を読んだが、これはまた「図書館」という切り口からで新鮮で面白かった。古代から日本人は本が好きなんだなあ。蔵書は世界中で見られるが、貸し出しが多いというのはとても興味深い。吉宗のかり出し記録と政治行動の相関が面白い。2018/02/25
石ころ
2
日本人って本好きなんだなぁ…。2018/04/23