出版社内容情報
労働組合と労働者自主福祉事業を通じた労働組合員相互の「共助」活動および、労働組合に組織されていない労働者、子ども、高齢者などとの「連帯」が今日の日本社会のなかで重要になっていることを確認し、「福祉社会」を実現するための議論を展開する。
刊行のことば
序章 課題と要約
1.本書の目的
2.自助、共助、公助――労働者自主福祉の意義
3.「共助」と労働組合
4.多段階のソーシャル・セーフティネット
5.ソーシャル・セーフティネットの危機
6.福祉ミックスと「新しい公共」
7.本書の構成と要約
第1章 現代と労働者自主福祉
はじめに
1.格差・貧困を生み出した社会構造の変容
2.社会の変容をもたらした要因は何か
3.市場万能主義に翻弄された日本社会
4.協同組合経済(労働者自主福祉事業)の果たす役割
第2章 労働者自主福祉の担い手
はじめに
【第?節】労働組合
1.企業別労働組合の「共助」の活動
1-1.概観
1-2.三越伊勢丹グループ労働組合(UAゼンセン加盟)
1-3.中部電力労働組合(電力総連加盟)
2.産別レベルの「共助」の活動
2-1.概観
2-2.UAゼンセンの共済制度
2-3.JAMの共済制度
2-4.新運転の労働者供給事業
3.地方組織での共助・連帯活動――連合静岡メイトを例に
【第?節】労働金庫
1.労働金庫の歴史
2.労働金庫の理念と組織
3.労働金庫の活動の現状
4.これからの労働金庫の使命
【第?節】全労済
1.全労済とは
2.全労済の各種共済と経営の現状
3.全労済の理念と諸活動
4.全労済の課題とこれから
【第?節】生活協同組合
1.生協運動の歴史的系譜
2.日本型生協の特質と類型
2-1.日本型生協の特質
2-2.日本型生協の3つの類型
3.生協運動の現状
4.生協運動の展望
5.協同組合の新しい展開――ワーカーズコープ
5-1.労働者協同組合(ワーカーズコープ)とは何か
5-2.ワーカーズコープの歴史
5-3.協同労働を推進するネットワークと法制化
【第?節】NPO
1.NPOとは何か
2.NPOの現状
【第?節】労働者福祉協議会(労福協)
1.労福協の歴史と現状
1-1.労福協の歴史
1-2.労福協活動の現状
2.地方労福協の活動事例
2-1.沖縄県労福協――公労使一体の就労支援
2-2.静岡県労福協――たて・横に幅広くつながるネットワーク
2-3.新潟県労福協――問題解決の幅を広げる相談事業の充実
第3章 「共助」から「連帯」へ――日本内外の先駆的事例
はじめに
【第?節】日本国内の事例
1-1.NTT労組東京総支部のNPO法人情報労連東京福祉センターのミニ・デイサービス事業――原点は組合員の年末福祉カンパ
1-2.電機連合神奈川の「社会福祉法人電機神奈川福祉センター」の障がい者就労移行支援事業「ぽこ・あ・ぽこ」――「雇用の福祉」の実践をする
1-3.山口県労福協「生活あんしんネット」の無料職業紹介事業――生活の安心は働く場の確保から
1-4.徳島県労福協の「なのはな居宅介護サービスセンター」――医療本位の介護から利用者本位の介護へ
1-5.徳島県労福協「とくしま次世代育成支援センター」――労福協のネットワークで安心の子育て社会づくり
1-6.石川労福協のライフ・サポートセンター――生涯組合員構想へのチャレンジ
1-7.連合中越地協が力を入れて支援しているNPO法人「地域循環ネットワーク」――学校給食の残さを利用したエコフィード・システム
1-8.茨城労福協――「出会いサポートセンター」結婚支援事業
1-9.山形県内の労働団体と自治体が連携して創設した「ふるさと奨学ローン」――地域人材の育成への貢献
1-10.生活クラブ風の村――介護からユニバーサル就労へ
1-11.よりそいホットライン――全国規模に展開される相談システム
【第?節】海外の事例
はじめに
1.ソーシャル・インクルージョンと社会的企業
2.地域雇用政策
3.多様なステークホルダーとの連携
4.ワーカーズ・キャピタルの社会的責任投資
5.伝統的な労働運動からコミュニティ運動へ
(1)ワーキング・アメリカ:改革への新組織――AFL-CIO(アメリカ労働組合総同盟・産業別組合会議)傘下コミュニティ組織
(2)ミャンマーの農業労働者支援事業
補章 労働者自主福祉の歴史
1.江戸時代から明治初期の共助(協同組合)のしくみ
2.産業組合法制定以降の協同組合:日本最初の協同組合法――お上が作った協同組合法
3.労働組合・労働者自主福祉運動の誕生と弾圧
4.大正デモクラシー下の労働運動と労働者自主福祉運動
5.労働運動・労働者生協に対する弾圧そして解散――大正末期から昭和初期、敗戦まで
6.戦後の労働運動、生協、中央労福協と労働金庫・全労済の関係性――その生い立ち
終章 地域で「新しい公共」を担う――「労働者自主福祉」がめざすもの
はじめに
1.「公共空間」とはなにか
2.生活ニーズにもとづく財・サービスの供給と就業・雇用機会の創出
3.社会参加の保障
4.「新しい公共」の担い手としての労働者自主福祉
【コラム】
○4つの生活資源
○労働者自主福祉事業団体に組織する労働組合の連携
○労働者自主福祉事業団体に働く労働者の労働組合に求められる役割
○一般社団法人ユニバーサル志縁社会創造センターについて
○社会的企業の可能な財源
○ソーシャル・キャピタル
おわりに
執筆者一覧
ヒアリング先一覧
高木 郁朗[タカギ イクロウ]
1939年生まれ。東京大学経済学部卒業。山形大学教授、日本女子大学教授を歴任し、現在、日本女子大学名誉教授。
著書:『国際労働運動』(日本経済新聞社)、『春闘論』(労働旬報社)、『労働経済と労使関係』(教育文化協会)、『労働者福祉論』(教育文化協会)等
編著:『ものがたり戦後労働運動史(全10巻)』(教育文化協会)、『共助と連帯』(教育文化協会)等
監修:『日本労働運動史事典』(明石書店)
訳書:『OECD図表でみる世界の社会問題』『同2』『同3』(明石書店)ほか多数
教育文化協会[キョウイクブンカキョウカイ]
公益社団法人 教育文化協会(略称:ILEC〔アイレック〕)
1995年12月、連合、連合構成組織などにより設立。労働教育及び教育文化活動の振興を通じて、勤労者とその家族の学習・文化活動の支援と、時代の要請に応えうる人材の育成を行い、勤労者の福祉の向上および労働運動、社会の健全な発展に寄与することを事業目的としている。
労働者福祉中央協議会[ロウドウシャフクシチュウオウキョウギカイ]
労働者福祉中央協議会(略称:中央労福協)
労働団体や労働者福祉に関わる事業団体、生活協同組合の全国団体、都道府県ごとの地方労福協で構成する勤労者福祉活動のための中央組織。幅広い立場からの政策提言や運動の企画・実践と、構成団体・組織間の相互協力の促進や福祉活動に関する協議や連絡・調整を行っている。
内容説明
日々進化している労働者自主福祉の現場の活動のありようを取り入れた、労働者自主福祉の基本的な考え方と基礎的情報を整理した横断的なテキスト。
目次
序章 課題と要約
第1章 現代と労働者自主福祉
第2章 労働者自主福祉の担い手
第3章 「共助」から「連帯」へ―日本内外の先駆的事例
補章 労働者自主福祉の歴史
終章 地域で「新しい公共」を担う―「労働者自主福祉」がめざすもの
著者等紹介
高木郁朗[タカギイクロウ]
1939年生まれ。東京大学経済学部卒業。山形大学教授、日本女子大学教授を歴任し、現在、日本女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。