内容説明
最大被害地のただなかで。みずからも被災者として多くの死に向き合い、がれきとたたかい必死に生きて紙面をつくり、街のすみずみへ、避難所・仮設・各戸へ、ひたすら情報を届けつづけた日々の記録。
目次
第1章 現実と向き合う(「3・11」当日;何を伝えるのか;記者の奮闘と苦悩)
第2章 ともに生きる(避難所も兼ねる;「一人じゃない」;地域に寄り添う)
第3章 読者に届ける(販売店の苦悩;避難所、仮設住宅への配布;システムの再構築;地域メディアとの連携)
第4章 多くの死と向き合う(営業部員の焦り;心に区切り;ペットも家族)
第5章 記録し伝える―二つの写真集と写真展(出版へのためらい;何が待たれていたのか;明るさを求めて)
第6章 検証―復興とは何か(脆かった情報社会;報道の集中と格差;復興を後押しする―エリア外への発信)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわくん
1
災害現場となった地域の地方紙が、どのように取材、制作、配送、配達、そして経営の維持を行ってきたか。三陸河北の親会社である河北新報社の震災時の動きは文藝春秋社発行の本で読んでいたが、石巻地方というさらに狭い地域を基盤とする新聞社は、どのような動きをしたのか。会社のすぐそばが被災地である。当時の動きを見つめ直すことで、これまでの報道や紙面への意味づけをしたように思う。マスコミのみならず、あらゆる業種で、当時の動きを検証することで、今後の防災施策や起業の社会貢献などの道が見えてくるかもしれない。2012/10/09