出版社内容情報
ヨーロッパで文化交流の記録を残し帰国した天正遣欧使節。イエズス会日本開教以来の遣欧計画、旅程、彼らの知的遺産から全貌に迫る。
内容説明
ヨーロッパで文化交流の記録を残して帰国した最初の日本人、天正遣欧使節。イエズス会による日本開教以来の遣欧計画や使節の旅程、彼らが残した知的遺産を読み解き、日欧双方に衝撃を与えた天正遣欧使節の全貌に迫る。
目次
1 知られざる日本、知られざるヨーロッパ(西方がみた日本、日本がみた西方;具体化するヨーロッパにおけるインド・琉球・日本 ほか)
2 遣欧使節構想の誕生(日欧邂逅の時代;遣欧使節構想の変遷 ほか)
3 天正遣欧使節の旅(長崎からイベリアへ;ローマおよびイタリアの諸都市にて ほか)
4 天正遣欧使節の知的遺産(ヨーロッパへの衝撃;日本へ持ち帰られた情報 ほか)
著者等紹介
伊川健二[イガワケンジ]
1974年東京生まれ。2006年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。大阪大学大学院文学研究科准教授、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院客員研究員などを経て、早稲田大学文学学術院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
9
それほど史料がないのだろうと思っていた天正遣欧少年使節も、欧文史料によってそれなりに肉付けができるのだなと感じた。当時の日本人も西欧人も最果ての地がインドだと漠然と捉えていたという地域概念の話や、西欧側からも少年使節四名の血筋などから、使節派遣に対して冷ややかな視線があったという話が面白い。2017/11/18
アメヲトコ
7
九州国立博物館で開催中の「新・桃山展」を観に行く車中で読了。まさにタイムリーな出版です。日欧双方の記録の博捜により使節の足取りを丹念に追うのみならず、古代からのはるかな前史を踏まえて、異文化の認識という点から広く描いているのが特長。日本人もヨーロッパ人も互いに広義の「インド人」と見なしたという指摘が面白い。なおショボすぎる地図が瑕瑾で、これは代わりに作図したくなるくらい。2017/11/11
MUNEKAZ
6
ヨーロッパ側の資料も駆使しながら天正遣欧使節に迫った一冊。お互いに「インド」「天竺」というざっくりした認識しかなかった日欧が、使節の派遣を通して具体的なものに変化していく様子に力点が置かれている。使節に対する教皇庁の厚遇に不満を示す各国の大使や外交儀礼の場では和装、宗教儀礼の場では洋装という使い分けがあったことなど、彼らの宗教的な面だけでなく日本の「国王」からの外交使節としての面も示している部分が興味深かった。2018/04/03
藤井宏
3
昔の日本の世界観では、世界の果ては天竺すなわちインドということになる。ペルシャ語で書かれた詩文も「南無阿弥陀仏」とインドで書かれたものとして伝わっている。伊東マンショら天正遣欧使節により、日欧それぞれにとって空想の中の相手に過ぎなかったものが現実的な体験で結びつくという大きな意義があり、本書を読むことにより大いにロマンを感じることができた。ローマ教皇への親書の中の「服従」の文字がイエズス会の「点数かせぎ」のために付け加えられたかもしれないという仮説はさもありなんで面白い。2022/03/05
Kazuyuki Koishikawa
1
使節の辿った街とかみるとすごい沢山の場所行ってて、うらやましいと思ったが、歩きだからそんなもんだな。また旅行行きたい。沖縄とかの呼ばれ方がレキオとかアルグールとか初めて知った。グールはどの呼び方が基になったんだろ。2020/11/08