内容説明
武田家を滅亡させ、暗愚の将とされてきた勝頼。だが、父信玄より領土を拡大し、織田信長ら同時代人の評価は高かった。新戦術(鉄砲)と旧戦法(騎馬)の対立軸で語られてきた合戦を捉え直し、「敗者」勝頼の実像に迫る。
目次
1 思いがけぬ運命
2 武田信玄の死と勝頼
3 武田勝頼の織田・徳川領国侵攻
4 長篠合戦をめぐる諸問題
5 長篠合戦前夜
6 決戦
著者等紹介
平山優[ヒラヤマユウ]
1964年東京都に生まれる。1989年立教大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在、山梨県立中央高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YONDA
18
勝頼は愚将ではなく「強過ぎる将」であった。諏方を継ぐはずなのに、上原城じゃなくて何故に高遠に居たのだろうかという疑問を持っていたが、平山さんはその疑問に答えを出してくれた。信玄時代からの重臣であった山県・内藤・馬場などと折り合いが悪かったのは事実のようだが、武田家滅亡が長篠合戦ではなく、その後の北条との甲相同盟破棄にあったとは知らなんだ。また、長篠合戦での三段打ちや騎馬隊の項についての記述は驚きであった。非常に勉強になった一冊であった。「検証・長篠合戦」も読むのが楽しみである。2016/04/05
春風
13
敗者の日本史シリーズ『長篠合戦と武田勝頼』。一般書における長篠合戦の論考としては、本書が現在の決定版であろう。武田勝頼に関しては長篠合戦を主軸に論じられているため、武田家が斜陽に向かったのちが詳述されている。長篠合戦をめぐる諸問題■武田騎馬隊の実像■戦国合戦における騎馬突撃の位置づけ■織田徳川鉄砲隊三千挺説の妥当性■三段撃ちの“三段”問題 などが通説批判的に論じられ、結論に至らぬ点は問題提起に留めている。長篠合戦は新旧の対立軸で論じられることが多いが、著者は質的差異はなく数量的差異しかないと結論づける。2020/12/20
ひよこ
8
兵と玉の数の差2023/06/23
電羊齋
8
これまで論じつくされてきた感のあった武田勝頼と長篠合戦だが、著者は史料を虚心坦懐に読み込むことでまだまだ新しい発見ができることを紹介している。個人的に興味深いのは、長篠合戦の論点の一つである「騎馬隊」につき、当時の史料に基づき実在したとし、その戦術についても論じているところ。その他の論点についての主張も面白く読めた。結局、戦いとは数なのかと納得。そして、わからないことはわからない、推測による個所は推測であるとしっかり明記してある点に、著者の研究者としての堅実さを感じた。2015/04/11
mushoku2006
8
最近の史実に基づいて書かれる歴史小説や他の研究書などで、 大方は既知の範囲だったかな。 もちろん小説とは段違いの濃厚さと言うか、情報量だし、 このテーマに集中した歴史書も読んだことはなかったと思うけど。2014/10/02