内容説明
武士勃興期における時代のシンボルともいえる“八幡太郎”源義家は、同時代の人々からも「天下第一武勇の士」と称讃されていた。鎌倉時代以後の武士世界において、彼は典型的な武将として偶像化され、伝説を生み神格化されていった。しかし現実の義家の姿はどのようなものであったろうか。本書はその歴史的生涯を実証的に追求した興味深い好著である。
目次
1 八幡太郎
2 河内源氏
3 義家の誕生
4 前九年の役と義家
5 青年武将義家の名声
6 「武将」義家に関する説話
7 後三年の役
8 東国武士と義家の武威
9 白河院政と義家
10 源氏一門の発展
11 義家の苦境
12 義家の死と源氏の凋落
13 源氏の栄光への憧憬
清和源氏系図
略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フランソワーズ
4
八幡太郎義家がいかにして、”天下一の武勇の士”となったか。勃興する軍事貴族の姿、その伸長を快く思わないものの、起用しなければならない当時の朝廷・公家社会。そして没後、凋落する河内源氏と、義家の伝説化等を著述しています。2022/05/07
Kiyoshi Utsugi
4
安田元久の「源義家」を読了しました。 前九年の役、後三年の役の源義家、また自身が武勇を誇った人で歌も詠むという文武両道の人であったという伝説のような話しか知らなかったので新鮮でした。 特に晩年の源義家は、嫡男の義親が朝廷に反逆して、自身が追討の任に当たらなければいけなかったなど、苦悩があったということを初めて知りました。 ますます福島県いわき市にある勿来の関に行ってみたくなりました。 吹く風をなこその関と思えども 道もせにちる山桜かな 千載和歌集に載せられている源義家の和歌になります。2019/09/01
珈琲好き
4
義家関連でいつも疑問なのは後三年の役が私戦扱いされてること。陸奥守なんだから陸奥国で起きてる紛争を解決しようとするのは当たり前だろうにどうして私戦扱いだったんだろう。2018/08/28
はじめ
2
決して新しい本ではないが文章の古さなどは感じられず、ページ数も少なめで読みやすかった。これを読んでおけば、大河ドラマをもっと理解できたかなあ……2014/05/29
さとまる
1
義家は武門の家としての源氏を確立させた人物ではあるが、自身はあくまでも貴族社会の中で家の位置づけを確立させるために武を司っていただけであり、武によって貴族社会を超克しようといった意志は無かったのか。頼りとした摂関家から院に実権が遷り、不遇を託つ晩年は不憫であった。2019/02/08