内容説明
戦後改革はこれまでの日本をどのように変えたのか。そして、一九四〇年代末から始まった、ナショナリズム復活の現象=「逆コース」はいかにして生じたのか。戦後社会の黎明期のなかに、現在へと続く課題をさぐる。
目次
戦後改革と逆コース
1 復員―軍人の戦後社会への包摂
2 家族法の改正―戦時および戦後
3 サンフランシスコ体制論―日本の再出発と日米鏡像関係の成立
4 戦後の大衆文化
5 総評労働運動の時代
著者等紹介
吉田裕[ヨシダユタカ]
1954年生まれる。1983年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授
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感想・レビュー
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Takao
2
2004年7月20日発行(初版)。松山の古書店より「日本の古本屋」で購入。冒頭の吉田裕氏の通史的な文章を第1部とすれば、第2部に相当するテーマ別の論考5編「復員 ~軍人の戦後社会への包摂~」「家族法の改正~戦時及び戦後~」「サンフランシスコ体制論~日本の再出発と日米鏡像関係の成立~」「戦後の大衆文化」「総評労働運動の時代」を加えた二部構成ともいえる。12年前の出版だが、戦前と戦後の断絶と連続、という問題を考えるうえで様々な視点を提供された。近年の政治の右傾化を考えると、この時代を読みなおす必要を感じる。 2016/07/10
おたきたお
0
戦前と戦後の「連続性」に着目する視点が斬新。最初に「私たち自身の視座や視覚を不断に問い直してゆく作業こそが、歴史家の「仕事」だと考えるからである」(P10)という姿勢に共感。この姿勢は政治・社会・文化の共著者も共にしている。45年から52年までの掃海作業(機雷除去など)で殉職した元海軍兵士は77名あったという。彼らの犠牲の上に戦後が成り立っていることは後世に伝える必要があるだろう。A級戦犯の一人である木戸孝一が天皇の戦争責任の明確化を訴求していたことや、戦中戦後の大衆運動家 山代巴を知ったのもこの著書。2006/01/01