出版社内容情報
動力と輸送を劇的に転換し現代の工業社会を生み出した蒸気機関と蒸気機関車。発明者の生涯を追い、発明の基盤を明らかにする。
内容説明
動力と輸送を劇的に転換して現代の工業社会を生み出した蒸気機関と蒸気機関車。発明者のワットとスティーヴンソンの生涯を追いながら、これらの発明の基盤を明らかにする。『ジェントルマンと科学』(世界史リブレット34)で好評を得た著者が本書で浮き彫りにしたのは、イギリス科学技術のもう一つの伝統を形成した技術者たちの世界。その独自な価値観に迫る。
目次
「自助の精神」とともに
1 スコットランド啓蒙の技師―ワットの前半生
2 産業革命のエンジン―ワットの後半生
3 炭鉱の蒸気機関工―スティーヴンソンの前半生
4 鉄道の時代を切り拓く―スティーヴンソンの後半生
「才能と勤労によって」をモットーに
著者等紹介
大野誠[オオノマコト]
1952年生まれ。名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了(化学工学専攻)。東京大学大学院理学系研究科修士課程修了(科学史専攻)。名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学(西洋史専攻)。専攻は近代イギリス史・科学史。愛知県立大学外国語学部教授、化学史学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
90
産業革命の立役者ワットとスティーヴンソンの業績を、世界史の流れの中で考察する書。学術的な本なので、小説を読むような楽しさはない。それでも歴史に対する新しい視点を得られる、興味深い本だった。両者とも産業革命以前だったら、無名の人物のままだったろう。イギリスの社会が農業から工業へ移り変わる時に生を受け、自らの工夫で新しい機器を生み出し、歴史を変える役割を担うことになったのだ。この本を読むと石炭の産出が、英国の工業化に大きな影響を与えたことがよく分かる。2018/01/12
Musa(ムサ)
8
蒸気機関と鉄道、英国の産業革命の原動力となった二つの技術の発展に大きく関わった二人の技術者を解説した一冊。100ページ程度の短めな本ですが、生涯技術者であり続けた二人の人生がしっかりと書き綴られています。2022/12/30
kentake
2
蒸気機関を発明したジェームズ・ワットと、鉄道を実用化したジョージ・スティーブンソンの略歴を辿った本。両者とも、現在では偉業を成し遂げた歴史上の人物として認識されているが、実際には産業革命というイギリス社会の変動期に様々な苦労を重ねてきた点が描かれている。全体を通じて、技術がダイナミックな変化を遂げていた時代の躍動感が伝わっってくる。2018/03/14
シロマック
0
「ワットはやかんの蓋が蒸気で持ち上がるのを観て蒸気機関を発明した」と教科書で習った。実際はそんな生やさしいものではなくいろいろ苦労しながら成し遂げたのが分かって改めて納得した。ワットもスティーブンソンも学がなく物理もまともに習得していないのに機械工をしながら感と経験でその原理を習得し自分の感によるスキルで成果を上げたのはすごい。さらに実用化のために技術、資金、採用等々あらゆるジャンルの人たちが関与したかも分かって小冊子にも関わらず中身の濃い本だった。2022/12/13