公共性の構造転換―市民社会の一カテゴリーについての探究 (第2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 339,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784624011239
  • NDC分類 362.06
  • Cコード C0010

出版社内容情報

〔市民社会の一カテゴリーについての探究〕1962年原書刊行以後の,本書への評価や動向を跡づけた1990年新版への序文を新たに増補した〈市民的公共性〉論のいまや古典的な名著。

目次

第1章 序論―市民的公共性の一類型の序論的区画(出発点の問い;代表的具現の公共性の類型について;市民的公共性の成立史によせて)
第2章 公共性の社会的構造(基本構図;公共性の制度〈施設〉;市民的家族 公衆に関わる私生活の制度化;文芸的公共性と政治的公共性との関係)
第3章 公共性の政治的機能(モデルケースとしてのイギリスにおける発展;大陸における諸変型;私的自律の圏としての市民社会 私法と自由化された市場;市民的法治国家における公共性の矛盾をはらんだ制度化)
第4章 市民的公共性―イデーとイデオロギー(公論 論点の前史;政治と道徳の媒介原理としての公開性―カント;公共性の弁証法によせて―ヘーゲルとマルクス;自由主義理論にあらわれた公共性の両価的把握―ジョン・ステュアート・ミルとアレクシス・ド・トックヴィル)
第5章 公共性の社会的構造変化(公共圏と私的領域との交錯傾向;社会圏と親密圏の両極分解;文化を論議する公衆から文化を消費する公衆へ;基本図式の消滅 市民的公共性の崩壊の発展経路)
第6章 公共性の政治的機能変化(民間文筆家たちのジャーナリズムからマス・メディアの公共サーヴィスへ―公共性の機能としての広告;公開性の原理の機能変化;造成された公共性と非公共的意見―住民の選挙行動;自由主義的法治国家から福祉国家への変形過程における政治的公共性)
第7章 公論の概念のために(国家法的擬制としての公論 この概念の社会心理学的解析;問題解明の社会学的な試み)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

18
もう古典のような感じですが、今は公共圏論ってどうなってるんだろ?熟議民主主義論も既に古くなってますよね。市民社会論が活発化して理想の市民社会を夢見た時代もあったのだ。ネット社会が到来し、普通の人が参入して自由闊達な議論の場が開かれている、はずだった。それが90年代後半だった。熟議を夢を見た美しい世界は幻となり、2ちゃんやダークウェブで胎動した大衆の生の声が蠢き、溢れ出した21世紀。ハーバーマスは近代の夢の香り。「市民」(いいこ)なんかになれない暗い感情を封じ込めた後に出現したトランプという公。(おおやけ)2020/05/03

てれまこし

9
政治権力は「国民の声」によって導かれねばならない。だがどこに行けばその声は聞こえるか。これが不明になったことが民主主義の危機の現われの一つ。かつては議会が「国民の声」の場であった。開かれた場所での熟議が多様な私見を公論に練り上げることができるという考えである。政治決定が密室に移されるにつれて、議会での審議は形骸化し、公共圏は私益が民衆の受動的同意を取り付ける場に転じる。国民の声は失われる。だが、国民の声という擬制を捨てることはできない。公論を経ない形で国民を代弁しようという怪しい「声」ばかりが増殖する。2020/02/04

スズツキ

6
現代で必読と言われる一方で、難解とも評される書。哲学と世界史の知識がないとそのコアですらつかめない難物である。ハーバーマスはリベラル知識人として知られ、その一方で性格の悪さでも知られるが、非常に土台がしっかりした人物である。故に中々見られない稀有な一作であろうか。2016/02/08

井蛙

4
公共性は国家権力を批判的に制御すること、公論や法の正当性を保証することをその機能とする。こうしたカントに典型的に見られる理想は国家と社会が不分明になった資本主義社会では欺瞞となった。公共性の暴力(マルクスやミル)、公衆の大衆への転化(ハイデガーやオルテガ)が明るみになったのである。そこでハーバーマスが提起することは上記の公共性の二機能を復権させ自律的な市民社会を新たに打ち立てねばならない、ということだ。2017/11/12

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

4
面白かった。公共性が歴史の文脈の中で如何に作られ、変化し、そして消滅していったのか。冒頭は、17~18世紀の文芸サロン。とりわけイギリスを中心に趣味の空間が政治的機能を持つ公共圏として成立していく過程が描かれ、自由主義的モデルに基づく公共性の特徴が論じられる一方、opinionの意味の歴史的変遷の検討からその矛盾や問題点が抉られていく。そして、セイ法則の挫折と自由主義モデルの破綻、教養主義の没落と大衆化の本格化。社会福祉モデルの建設。社会心理学の対象となった社会(公論)のなかで個人は如何に生きるのか・・・2013/07/26

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