いと高き貧しさ―修道院規則と生の形式

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  • サイズ B6判/ページ数 214,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622078531
  • NDC分類 198.25
  • Cコード C0010

出版社内容情報

エーコ『薔薇の名前』の時代、聖フランチェスコを継いで法権力の外の生を求めた托鉢修道士たちに、大量消費社会を超える思想を読む。

もしも使用が所有と無関係で、法の外にある生活が可能だとしたら、どうだろう。世界的に注目を集めるイタリア人哲学者が清貧を貫いた修道者たちをホモ・サケル(法の外にある聖なる者)ととらえ、砂漠の聖者アントニオスからアウグスティヌス、アッシジのフランチェスコ、オッカムらの思想に、現代の大量消費社会を超える可能性を読む。異端裁判と背中合わせに生きた人々の言論に息をのむ。一番大事なことはイエスのような《貧しさ》であるとして所有権を拒否し、《生》の自立を求めた彼らの挑戦は、現代を生きる人々にも示唆に富んでいる。「ホモ・サケル」シリーズの一冊。

序文I 規則と生 (1規則の誕生 2規則と法律 3俗世からの逃亡と創憲 閾) II 典礼と規則(1生の規則 2口伝と文書 3典礼のテクストとしての規則 閾) III〈生の形式〉(1生の発見 2法権利を放棄すること 3いと高き貧しさと使用 閾)註 人名索引 訳者解説「所有することなき使用」上村忠男 訳者あとがき

内容説明

物を所有せずに使用する。現代が思考すらできないでいる、法権利の外にある生を求めた聖フランチェスコら托鉢修道者に、大量消費社会を超える可能性を読む。

目次

1 規則と生(規則の誕生;規則と法律;俗世からの逃亡と創憲)
2 典礼と規則(生の規則;口述と書記;典礼のテクストとしての規則)
3 “生の形式”(生の発見;法権利を放棄する;いと高き貧しさと使用)

著者等紹介

アガンベン,ジョルジョ[アガンベン,ジョルジョ] [Agamben,Giorgio]
1942年ローマ生まれ。ヴェネツィア建築大学教授を務めたのち、現在はズヴィッツェラ・イタリアーナ大学メンドリジオ建築アカデミーで教えている

上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年兵庫県尼崎市生まれ。東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了。東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史専攻

太田綾子[オオタアヤコ]
1947年東京生まれ。フィレンツェ大学教育学部イタリア語・イタリア文学科卒業、教皇庁立ウルバノ大学マーテル・エクレシエ短期大学(宣教カテケーシス専攻)卒業。教皇庁グレゴリアン大学聖書学院でヘブライ語・ギリシア語を学ぶ。滞伊26年、1991年に帰国。日伊協会講師(1989‐97)。1993年イタリア語通訳翻訳会社「アド・イタリア」設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

20
11年初出。修道院は神的な作業場❝officina divinae artis❞(43頁)。トマス・アクィナス:規則を守る誓約をする者は、従順、貞潔、謙虚からなる規則に適った生き方を誓う(76頁)。ギリシア語のレイトゥルギア(leitourgia)はlaos民とergon業から派生し、公共的寄与、民のための奉仕(113頁)。修道会、創設者にとって問題はあらゆる法権利の放棄abdicatio omnis iuris で、法権利外の人間として生存していくことの可能性(147頁)。2015/06/25

34

16
本書は、アガンベンのメシアニズム的イメージと体系的な西洋政治思想の系譜学的批判とを架橋するもののようだ。おもしろいのはアガンベン流の(いわば)「第三の道」の提示の仕方。それは生の形式として、あるいは物と世界の所有なき使用の理論として構想されるのだけど、それが出てくるのは規則(ないし典礼)と生のあいだにある両義的な緊張を孕んだ域の脱構築を通して。アガンベンの思考の所作を脱構築と呼ぶのはためらわれるが、おもしろいというのは、アガンベンがデリダとはちがって極めてポジティヴな倫理の理論の構築を目指しているところ。2017/01/13

hitotoseno

13
2016年に他ならぬアガンベンの国イタリアにおいてこんな事件があった。2011年にウクライナ人の男が困窮のあまりソーセージとチーズを万引きし、当初は懲役が科せられていたが、5年後の破棄院の判決では無罪が言い渡された。曰く、空腹に耐えかねて食料を盗むことは必要に駆られての行為であり、犯罪要件を構成しない、とのことだが、驚くべきこの裁定は恐らく13世紀に登場したフランシスコ会の無所有の掟にまでさかのぼってこそ理解できる。教皇庁にとってフランシスコ会が扱いづらかった理由の一つに、極度の清貧主義が挙げられる。2018/01/02

花林糖

12
(図書館本)中世の修道院の規則と生活について、述べられているのかと思っていたら哲学的な内容でした。巻末の解説で多少は理解出来たけれど難しかったです。2016/03/02

9saito

3
修道院のライフスタイルか何かの話と思って読み始めたのですが、修道士の法的権利の話でした。入門時には兄弟子らにいびられるのとかは日本の仏門と一緒なのに、出家の社会的な効果が質的に違い、驚きです。使用権という概念は、字面より遙かに面白いものだと、初めて知りました。一貫して情報提示のリズムとバランスが非常に良く、この筆者の講義は人気高いだろうなあ…と想像されます。2015/02/25

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