出版社内容情報
放射性物質の海洋拡散の有用なモデルの数理的な解説と、これらのモデルを適用し、福島原発事故などの具体例を紹介。
内容説明
放射性核種の海洋拡散問題について、観測結果との比較に基づいた流動・拡散モデルの構築と解析手法を解説したものである。著者はIAEA等の国際原子力機関での調査研究や原子力発電所海域の流動解析に実績があり、本書ではこれらで開発された各種のモデルを解説、実際の適用例を紹介。さらに2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故に関してもモニタリング結果をベースに海水/海底の放射能濃度の経年変化を計算し、今後の環境影響について考察。
目次
序章 地球環境と放射性物質の海洋拡散(地球環境問題の意味するもの;今後のエネルギーのあり方;原子力の役割;自然エネルギーの開発;原子力発電所の安全対策;放射性物質の海洋環境への移行;本書の内容)
1章 海水流動のモデル化(流動解析モデルの概要;力学モデルの概要;ボックスモデルによる流動解析;データ同化手法を用いた太平洋の流動解析)
2章 核種拡散モデル(本章の概要;核種拡散の基本的な考え方;スキャベンジングを考慮した核種拡散モデル;セディメントモデル;放射性物質の拡散モデル;海底層モデル;懸濁物質に関するパラメータ;セディメントモデルに用いるパラメータ;海底付近のパラメータ;海底境界層区分の妥当性)
3章 モデルの適用例(旧ソ連原子力潜水艦投棄による北極海の放射能拡散;大気圏内核実験等による太平洋の核種濃度計算;六ケ所村再処理施設の放射性廃液拡散予測;若狭湾における放射能拡散)
4章 福島原発から漏洩した放射能の海水/海底濃度計算(福島浜通り海域の長周期流れの特性;海水中のCs‐137の汚染レベル;使用データ;流動計算;放射性物質拡散の計算)
著者等紹介
和田明[ワダアキラ]
1963年大阪大学大学院博士課程修了。1963‐1988年財団法人電力中央研究所。1988‐1995年東海大学海洋学部教授。1995‐2005年日本大学生産工学部教授。1999‐2001年埼玉大学工学部客員教授。2005‐2011年日本大学大学院総合科学研究科教授。2011年‐日本大学大学院総合科学研究科上席研究員。公益財団法人海洋生物環境研究所顧問。中央公害対策審議会、原子力安全委員会、資源調査会の専門委員および科学技術庁の原子力安全審査や原子力安全・保安院の環境審査に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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