出版社内容情報
東京23区それぞれが、自身の歴史や街の様子、そこで生まれた悲喜こもごものドラマを「自分語り」する小説集。
内容説明
生真面目な千代田区が思い出すビートルズが皇居を歩いた日のこと、洒落者の港区が語る魅力的な若者たち、文学を愛する杉並区が明かすある女性との出会い…23区23様のドラマチックなストーリーが踊りだす。今すぐ東京を歩きたくなる、ユーモアと機知に溢れた傑作小説集。
著者等紹介
山内マリコ[ヤマウチマリコ]
1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、京都でのライター生活を経て上京。2008年「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
92
東京23区がそれぞれ一人称で自分を語る、面白い趣向の作品。私はハマっ子だけど、東京の学校に通ってたし、仕事でも通ってたし、あちこち遊びに行ったし、懐かしい場所が沢山登場して、思いっきりノスタルジーに浸ってしまう。品川駅の所在地は品川区じゃないとか、荒川区に荒川は流れてないとか、大田区の面積の3割は羽田空港とか、そんなちょっとしたトリビアネタもあって、とっても楽しかった。あれだけ通った渋谷駅も、今はすっかり様変わりしちゃったみたいだし、電車の路線もだいぶ変わったみたいだし、今度訪れた時には浦島太郎状態だな。2020/10/28
ワニニ
54
23区各々が自分語りするという、面白い本。それぞれの区の特徴を捉えて、それらしくしゃべっているのが良い。馴染みある区もない区も、知っていることも知らないことも興味深く読める。ただ、通り一遍な感じはして、サラッと読みながら、頭のもう一方では自分自身の、その区の思い出とか記憶、移り変わりに、つい思いを巡らせてしまう。それにしても、ずいぶん変化しているのだなぁ。作者も書いていたが、連載中と文庫発行時でさえも、あれっ?と思う所がある。東京オリンピックに向け、まだまだどんどん変わる東京。色々な物語も生まれるだろう。2017/10/17
菜穂子
53
大田区、歌に歌われた洗足池は出てきたが、池上線は出てこなかったな…。多摩川に向かうとジャイアンツのグランドがあり○○に会ったと喜んだ学生時代、もう無くなったのか。蒲田駅近く電車から見えるタイヤ公園、手作りが大好きな人なら絶対外せないユザワヤ 、こちらは縮小したらしいが健在。坂の多い文京区、動坂は出てこなかったけれど、吉祥寺の鐘の音は耳の奥に刻まれている。中野区とは言っても練馬に隣接していて住民の自覚は中野サンプラザの隣にある区役所に行った時だけかな。かつて住んだ街は思い入れがあるなと思った本でした。2017/10/29
たるき( ´ ▽ ` )ノ
44
面白かったー!知らなかったことが沢山あって、楽しみながら勉強できて得した気分。『ここ荒川区には……荒川は流れてません!!』には笑ったな〜(*´∀`*)区を擬人化するって発想がいい。2020/11/15
ユメ
43
東京23区が自分語りを始めたら。23区を擬人化するという発想に脱帽。それぞれの区の気性の違いが面白く、それがすっと入ってくるよう一人称や口調の設定に心配りがなされている。どの区も、自分のところにゆかりのある著名人を我が子のように誇りに思っているところが可愛らしい。23区の思い出語りに耳を傾けるのは楽しかった。「変化コソ、東京ノ真髄」めまぐるしい変化をずっと目の当たりにし続け、歴史ある場所がなくなることも幾度となく経験してきた彼らだけれど、全員が「今の自分も好き」というのに、東京という街の強さを感じる。2017/10/22