内容説明
室町・戦国期日本の国際意識を解明。明皇帝から「日本国王」に冊封された、歴代の室町将軍たち―彼らは素直に中国の華夷秩序を受け入れたのか。伝統的な日本の(中華意識)は本当に消え失せてしまったのか。唐物に当時の(中華)イメージを探り、外交の現場から幕府独自の対外観をあぶり出す。言説・伝説の世界を逍遙し、文化史や美術史の成果とも切り結ぶ、まったく新しい対外関係史。
目次
1 室町殿の“中華幻想”―足利義満・義持期を中心に
2 渡唐天神説話の源流と流行
3 皇帝へのあこがれ―室町殿コレクションと“皇帝の絵画”
4 大内氏の唐物贈与と遣明船
5 『善隣国宝記』箚記
6 永楽銭の史実と伝説
7 朝鮮国王使と室町幕府
著者等紹介
橋本雄[ハシモトユウ]
1972年東京生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。独立行政法人国立博物館(現:国立文化財機構)九州国立博物館学芸部企画課研究員等を経て、北海道大学大学院文学研究科准教授。専門は日本中世史、とくに中世後期の国際関係史・文化交流史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
15
室町期の日明関係といえば「日本国王」義満など刺激的なトピックスに事欠かないが、本書のスケールはさらに大きく、中華という巨大文明に対峙する日本の自意識そのものが主題となっている。憧憬と反発、跪拝と排除が混濁した複雑な感情。これらは間違いなく、日本人の対外認識に影響を与えたはずだ。紹介される事例は豊富で、足利義持のあのとんでもない頬髭が持つ意味にまで言及しており飽きさせない。文体も明晰だが、注が饒舌にすぎて若干読みやすさを損なっている感あり。寧ろ、本文をもっと肥やした方がよかったのでは。2025/07/24
ELW
3
「浩瀚な」という形容詞を使いたくなりますね。「渡唐天神説話の源流と流行」と永楽銭揮毫伝説は同根の推理小説のよう。なぜか映画『永遠の帝国』を思いだした。 2019/02/18
吃逆堂
3
タイトルのキャッチ―さに対して、論証はきわめて実証的、でありながら、議論の展開はとても自由で豊か。2017/04/29