出版社内容情報
天祢 涼[アマネ リョウ]
著・文・その他
内容説明
寂れた団地で人々の心の隙間を埋めるように広がる新宗教“ゆかり”。大企業スザクに勤める六三志は、自社の顧客を守るため、教団潰しを命じられた。ところが若き教祖・禅祐は、宗教を用いて金儲けをたくらむ頭脳派。信者の前で正体を暴こうとする六三志の告発をかわしてしまう。教団の存亡を賭け、どちらが住民の支持を得られるのか、激しい心理戦が始まった!気鋭の放つ傑作長編ミステリー。
著者等紹介
天祢涼[アマネリョウ]
1978年生まれ。『キョウカンカク』(文庫化にあたり改題『キョウカンカク 美しき夜に』)で第43回メフィスト賞を受賞し、2010年にデビュー。同作は2011年版「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
65
おだてに弱いけど仕事はデキる主人公のサラリーマン・六三志が潰すことを命じられた新宗教の教祖は、金儲けを企みながらも信徒にはそれを気付かせないキレ者。ふたりの火花散る頭脳戦の結末は?ハラハラと手に汗握るあらすじに期待してサクサクと読ませる展開でページが進む…のだけれど、読み終えてみるとあらなんだか熱が残らない。これはひとえに主人公のライバルである教祖・禅祐が終始冷静なままで一度も本音や心に秘めた熱を吐露しない物足りなさゆえ。人間味の見えないライバルじゃぁ盛り上がりに欠けるってものですな。『もうすこしです』2017/10/31
うまる
35
地区の覇権を巡る宗教と大企業リーマンの攻防戦。単なる宗教話とお仕事もので終わらず、ミステリ作家さんらしい回収劇が見事で、最後まで楽しかったです。感心した伏線が多数ありました。攻防戦に世代間の隔たりといった心理が絡む所も面白い。ラスボスの朱雀さんが案外しょぼかったので、凄さを感じられる何かがあったらなと思いました。あ、でもラスボスは朱雀さんじゃなくてあの人だったのかな。最終的に勝ったのはあの人な気がする。ハイスペックな人間でも考えが読めない不思議系が一番強いのかもしれない。2022/04/25
み
25
やられた(>_<)文庫改題…。早々に気が付き、自分にちと安心しました(^o^)2019/01/06
マッちゃま
19
寂れた団地で広がっていく新興宗教「ゆかり」自社の顧客を守る為に ゆかり潰しを命じられたリーマンの六三志。期間内に信者500人を集められるのか?それを賭けにリーマンvs教祖のデッドorライブな闘いが始まる。団地の高齢者、若者、富裕層のそれぞれの主張や悩み、謎の美女も登場。闘いは二転三転しつつも氏らしい読み心地いいエンディング。まあ〜これで終わっても良いけどリーマンと教祖が今度はガッツリと手を組んで、団地を襲う未曾有の危機や外敵から守るなんて次作も期待しちゃいたい。だって六三志の恋の行方も見たいじゃない(笑)2018/10/06
トリプルアクセル
9
大企業と新宗教の戦いを描いた長編ミステリ。連作短編の形式に近く、コン・ゲーム小説として1編毎の攻防が面白い。構図をひっくり返す手腕もお見事。天袮作品らしさ満載だった。2018/09/10