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鳥を探しに

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  • サイズ B6判/ページ数 659p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575236859
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「瞬間を丹念に記憶の中からすくいあげ、連記し、その世界すべての命をよみがえらせた散文の力に、快く屈した」と辛口の評論家に言わしめた名文を、「本物」を待ちわびた読者に。散文・詩集においても数々の賞を受賞した著者が描く二冊目の小説。

著者等紹介

平出隆[ヒライデタカシ]
1950年福岡県北九州市生れ。一橋大学社会学部卒。詩人・多摩美術大学教授。『伊良子清白』新潮社(芸術選奨文部科学大臣賞・藤村記念歴程賞・造本装幀コンクール経済産業大臣賞=自装)、『猫の客』河出書房新社(木山捷平文学賞)、『左手日記例言』白水社(読売文学賞)、『胡桃の戦意のために』思潮社(芸術選奨文部大臣新人賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

27
分厚いし、正直に言えば鈍い退屈を感じる。だが、それでもこの本を読めたことは幸せだと思う。ぼくは父と折り合いが悪いので、そんな父であってもぼくが受け継げるものがあるとしたらなんだろう、と考えながら読んだ。平出隆は祖父から探検記を、父から田村隆一と思しき詩人との思い出話を受け継ぎ、そしてこの美しい本に結実させたのだ……長い本だが断章めいた短い断片で構成されているので(ベンヤミンの向こうを張って?)、すんなり読める。この詩人はしかし、異言語との摩擦よりは日本語本来の強靭な滑らかさをこそ表現したいかのようにも思う2020/07/19

まど

24
素晴らしかった。この本を持って歩いていたら「美しい本ですね。私も読んでみたいです」と声をかけられた。そういうのは初めての経験だった。2010/08/20

umeko

14
装丁も美しく、内容も素晴らしい逸品。祖父母や両親の昔話を聞くような心地よさを感じたり、冒険譚にドキドキしたり、ベルリンでの生活や、家族との繋がりなど、多くのエピソードの連続に飲み込まれ、この世の時間を止められたような感じ。かなり厚めの本ながら、読み終わるのが勿体無いと感じた。 2013/01/03

いやしの本棚

12
佇まいの美しい一冊。書棚に差しておいても景色がいい。…などと、長年厚みに圧倒されて読まずにいた本だったが、今、物語の中に入っていく力が弱まっている自分にとって、断章のコラージュという手法がとてもしっくりきた。西へ、過去へ、鳥を探す旅に出ていた気分。平出氏の作品が好きなので、既読の『ベルリンの瞬間』や『私のティーアガルテン行』などの記憶とゆっくり混じり合いながら、読んでいる間だけは、穏やかな時間を過ごせた。2020/07/19

rinakko

7
素晴らしい読み応え。移住先のベルリンに語り手が持ち込んだ祖父の遺稿は、殆どを翻訳が占めていた。祖父を慕い続けた父へ馳せる思い、その祖父について書こうとする自身への問いかけ、行きつ戻りつする回想、ベルリンでの出会い…。それらの章と交互に差し挟まれる祖父の草稿は、宝探しめいた冒険譚の要所の翻訳が大部分だ。語り手は次第に、全てが一冊の大きな本であるような気分へ導かれていく。幻の鳥を追う心は、他の様々な事柄と繋がり合い、何か…より大きくて普遍な、手に届かないものを希求し焦がれる思いへと、この作品の中で膨らんでいく2013/12/09

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