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出版社内容情報
山のふもとにたたずむ、1本のぶどうの老木が静かに語りだす。ひとりの先生と知的障害をもつ子どもたちが、ぶどう畑で起こした奇跡ー「働く」「育てる」
「人間らしく生きる」ってなんだろう?
山のふもとにたたずむ知的障害者施設「こころみ学園」。
1本のぶどうの老木が静かに語りだします。
知的障害を持つ子どもたちと先生が、ぶどう畑で起こした奇跡を――。
昭和44年、栃木県足利市に誕生した「こころみ学園」。当時、中学を卒業すると行き場を失っていた知的障害のある子どもたちのために、ひとりの教師が私財をなげうって山を購入し、子どもたちとともにぶどう畑を開墾したのがすべての始まりでした。以来、ここで暮らす知的障害者たちはお年寄りになっても、親しみと敬意をこめて「子どもたち」と呼ばれています。
大自然のなかで汗を流し、くたくたになるまで働いたあとの食事の美味しさ、休憩の心地よさ。
それを日々、心と体で味わうこと。
たとえ自分の名前が言えなくても、書けなくても。雨の日も風の日も、ただひたすら大切に育てた園生たちのぶどうが、人と人を、心と心をつないでいく――
障害があってもなくても、働くことで得られる喜びがある。
人として豊かに生きることの意味を考えさせられる1冊。
小手鞠るい[コデマリルイ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
49
障害者だからといって何もしなくても生活できればいいと思わず、自らの体と知恵を使って働く。働く場所がある。そして仲間がいる。この環境が素晴らしい。毎年栃木には旅行するのに、全く知りませんでした。次回は寄り道して働く子どもたちの顔を見たい。いきいきした顔をしていることを願っています。2018/08/08
fwhd8325
45
障害者といって、特別視することはないんだと思います。昔は、障害を持っていることを周知として、同じ生活の中にいたように記憶しています。こころみ学園が行ってきたことは、人として当たり前のように得られることや行うことを実践してきたことだと思います。そのシンプルなことを怠ると大きな間違いが起きてしまうのでしょう。敢えて普通とは言いません。当たり前のことを自然に行うことの美しさを感じます。2018/06/19
信兵衛
32
障害児といって特別扱いするのではなく、彼らもまた一生懸命働ける仕事を持ち、その仕事から喜びを得られる、ということがどれだけ大切なことかと、深く感じます。2018/04/30
けんとまん1007
26
こころみ学園のことは、少しは知っていたが、改めてその成り立ちから、今に至るまでを知ることができた。自分の体を使うことの意味が大きい。体を使い、五感を活かすこと。それは、障害の有無に関わらず、すべての人に言えることだと思っている。今の時代、ますますバーチャルに、世の中のっ風潮に流れてしまう。それに頼らないことが、本当の意味での成長につながると信じている。2018/08/15
BEAN STARK
10
人にはある程度、過酷な労働が必要。楽な方にばかり流れていては、精悍な生きものに成長できない。鍛えられてはじめて、多少のことでへこたれない精悍な生きものになる。精悍には「強く するどく たくましい」という意味がある。2018/09/01