出版社内容情報
2015年の改訂版(初版は2003年刊行)。本書は、fid?le(忠実)ではないフィデル・カストロについて、幼少期から青年期、キューバ革命、独裁者として、伝記、ルポルタージュ、小説、歴史、すべての要素をふくみ、詳細に描いている。
内容説明
本書は、フィデル・カストロという迷路をたどる長い旅の結実である。知られざる幼少期、青年時代をふくむ、キューバ革命のカリスマの生涯を描く決定版!幼少期から晩年の幅広い時期にわたる貴重な写真を掲載!
目次
「うすぎたないユダヤ人」
天使と獣
サンティアゴのゴッドファーザー
ダンヘル先生、イエズス会士、無限
カナンの呪い
使徒とギャング
鐘の花婿
ミルタの夢
危険な関係
わたしをアレハンドロとよべ〔ほか〕
著者等紹介
ラフィ,セルジュ[ラフィ,セルジュ] [Raffy,Serge]
ライター、脚本家、小説家、ジャーナリスト(「ロプス」誌編集長)
神田順子[カンダジュンコ]
フランス語通訳・翻訳家。上智大学外国語学部フランス語学科卒業
鈴木知子[スズキトモコ]
上智大学外国語学部フランス語学科卒業。日本銀行勤務。東京大学文学部修士課程在学(インド語インド文学専攻)。翻訳協力多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
26
『エル・ロコ(狂人)』と幼い頃から呼ばれていたようにフィデル・カストロの行動は謀略的とも無謀とも呼べる二面性がある。本書はカストロの直面している状況とキューバ内外の政局を平行して解説しているため、それがハッキリと分かってくる。計りかねるのはカストロはどこまで計算し、政敵たちを葬るための戦略を練っていったかである。もちろん、運もあるどころか強運の持ち主で逃亡中何度も命拾いし、無謀な作戦を実行しても生き延び、強力なライバルであるエチェベリアはクーデターが失敗し、死亡する。なんとも恐ろしい男だと思った。2022/01/19
星落秋風五丈原
25
2016年11月25日、キューバの国家評議会議長フィデル・カストロが90歳で死亡した。アメリカの鼻の先のような場所で、西半球における最初の共産主義国を樹立し、その他世界中の政治的大国に立ち向かい社会主義者の理想のために戦った英雄として讃えられた。一方で、映画『夜になるまえに』で描かれたように同性愛者の詩人の書籍を発禁処分にするなど、強権的な部分も見られた。彼の生存中には出せなかったであろう評伝だ。読者の視線にきっちり視線を合わせてくる表紙写真の眼光も恐ろしい。2018/01/06
田中峰和
6
稀代のペテン師は、子どもができれば次々女を替えるドンファンであり、強大な敵バティスタに挑む姿はドン・キホーテだった。家庭を顧みない身勝手な男は、息子には異常な所有欲をもち誘拐、監禁してしまう。その風貌から大胆さを演出するフィデルだが、モンカダ襲撃では、眼鏡を忘れ車が事故っても一人で逃げてしまい、多くの犠牲を出す始末。髭面の女好きとくれば、信者を騙しマスコミを手玉に取った麻原彰晃を思い浮かべる。その我儘な王様ぶりは、59年の政権獲得後、さらに加速する。革命の協力者たちを罠に嵌めて殺害し、独裁政治を確立する。2018/02/25
Akio Kudo
2
★★★★ 余りにも濃密な自伝に言葉がない。彼にとって共産主義は信じるイデオロギーではなく、権力を得るための手段だった。2021/04/17